第5話 勇者...様?
「あれが...勇者...」
そう、遂に勇者とご対面イベントが来たわけだが...俺の異世界知識をもって言わせてもらうと...
「どう見ても偽物じゃん...この村だまされてるよ...」
そう、現れた勇者はゲスい顔したただの盗賊集団にしか見えないのであった。
そうともしれない村の人達は何か宴の準備をしているし、盗賊達は笑いながらそれを眺めている。
確かに生まれてからこの村に外からの来訪者は初めてなのだが...この村は本当に世間を知らないダメダメ集団だった。
「いやいやいやいや...どうする?村の人達に言ってみるか?いやでも俺の意見なんて聞いてもらえる訳ないしな...」
うーん...多分このまま宴をしたあとに色々盗まれて終わりな気がする。
「いっそこのままあの盗賊に仲間に入れて貰うか...?これを見たらそっちの方が良い説まである」
しかし、盗賊かあ。
この世界の盗賊がどの程度悪なのか分からない、そもそもこいつらの実力もどのくらいなのか...
どうする...ここで選択を間違えるとほんとにゲームオーバーもありえる。
ただ、このまま世間を知らないこの村で育つよりはある程度悪くても外を知れる盗賊の方がいい気もする。
「ダメ元で...話しかけてみるか」
そう決意した俺は盗賊のもとへ向かった。
「あの~...すいません」
「...あ?どうした?俺様に何か用か?」
「もし良ければ、その...仲間に入れて貰いたいんですけど...」
「...ハッハッハッハッハ!!!!おい聞いたかお前ら?こいつ仲間になりたいらしいぞ!!!」
一瞬静まり返ったあとに盗賊達は大爆笑していた。
「おい小僧、あんまり俺らを舐めるんじゃないぞ?こっちは勇者パーティなんだからよ」
「お前みたいなブサイクが入れる場所じゃねえんだよ!!」
そう言われて下っ端みたいなやつに蹴り飛ばされた。ろくに鍛えてもいない俺は吹っ飛ばされた。
「こんなのもの避けれないなら仲間なんて無理無理!!!ギャハハハハハ」
そのあと囲まれてハチャメチャに蹴られまくった。村の人達は完全に無視していた。
なんなら親までガン無視である。
「なんだよ...なんで...こんなの...」
宴が開始されたので、ひと通り遊ばれた俺は村の端っこでぶっ倒れていた。
完全に失敗した。そりゃそうだ。
こっちは10歳のガキ。仲間に入れてもらえるわけがないのだ。
「はあ...もう一回死んだら転生させてもらえるかな...」
何もかも上手くいかない異世界転生。
こんなに何も出来ない主人公の話など聞いたことがない。
賑やかな宴の盛り上がりを聞きながら、俺は気絶に近い眠りに落ちた。
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