Ver2.1 最悪の女からの呼び出し

 今日は珍しくジゥから巫巫道堂に呼ばれた。

 めんどくさ、と思ったが、クソ暑いので涼むのには最適だと思い承諾した。

 

 のだが、


「ふっざけんなよマジで……」


 巫巫道堂は鍵が閉まってて入れなかった。

 鍵を持ってるのは、当然ジゥだ。(というかこのデジタルの世界で鍵かよ)


「あんのボケ、呼び出しといて……」


 既に2時間は待っている。

 喉はカラカラで腹も減ってきた。


 ―――もういいわ、帰る。


 と、立ち上がった瞬間、見透かしたようにジゥが現れた。


「あら、珍しい」

「はぁあああああ? おめーが呼んだんだろうが!!」

「呼びはしましたが、すぐに来てくれなんて言ってませんよ」

「だから別に待たせても謝らねーよってか? ぶっ飛ばすぞ」

「できないことを強弁すると、後で恥かきますよ」


 ―――あーもーキレた

 

 拳をぐっと握り、振り上げようとした瞬間。


「とりあえず中にはいりません? 喉乾いてるでしょ?」

 

 いつもの涼しい顔に、切って貼ったような笑顔でジゥはそう言った。


 それはそう。

 喉が渇いて仕方ない。

 拳の緊張を解いた。


 ジゥが事務所の鍵を開けると、涼しい空気が足元に流れ込んできた。


 ―――はぁ~やっと休める~


 さっきまでの怒りはどこへやら。

 私は喉の乾きと空腹と、疲労で頭が回っていなかった。

 この時、ジゥがニヤりと笑っていた事に、気づいていなかったのだ。


―――Ver2.1 最悪の女からの呼び出し 終

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