episode8 TOOL1/3

 右モニターに、デカい亀、に似た丸っこい害獣が遠く映っている。小型の犬っぽいのが向かって来たが、銃撃で倒される。

 現場で交戦中のドローンに搭載されたカメラ映像から、オペレーターの方へと視線を移す。

「警察のドローンがうまくやっているな。北西方面の守備は固められないのか?」

「現在で限界との事です」

 警察とやり取りをするオペレーターが首を何度か振った。

 戦略支援AIも該当エリアの脆弱性を警告する。しかし、下手に戦力を広げて包囲したところで簡単に突破されるだけだ。追加のドローンが無いと厳しい。

「ホールインワン、こちらシューティングスター。離陸準備完了」

 北西エリアにおける害獣の拡散予想をAIに表示させる。それを包囲できる様に部隊の降下地点をマーク。

 すぐにシューティングスターが座標へ飛び立つ。

 どれだけ早くても十分、それまでに被害が広がらないと良いが。

「爆撃の許可は?」

「上空での待機も含めてダメです」

 待機もダメか。都心に近く、出現規模もそれほどではないから当然か。

 中央モニターにはまだ時間の掛かりそうな車両部隊と、あと少しで作戦エリア内に入るアーマーピアシングが表示されている。

 今のところ小型も拡散していない。だが、時間の問題だろ。

 アーマーピアシングが作戦エリアに突入するのを確認。北西エリアへ攻撃を指示しようと思ったが、そこまで拡散しておらず、むしろ反対側のドローンが押されている。

 そこをマークする。

「アーマーピアシングはこのエリアで火力支援。北西は今はいい」

 通信を終えたオペレーターが、

「大丈夫でしょうか?」

 やや不安な横顔を見せる。

「アーマーピアシング単体では防衛戦の穴を埋めきれない。それなら支援に回した方がいい」

 2箇所から拡散するなら一箇所を火力支援で抑え、もう片方はもうじき到着するシューティングスターの抱えた戦力を展開して包囲した方が確実だ。

 右モニターには下部機関砲を小型に浴びせかけるアーマーピアシング。左モニターの残弾表示が減り、止まってまた減る。

 十分程度するとシューティングスターが降下ルートに乗る。降下地点の北西エリアは殆ど拡散していない。

 小型の数も多くはない。

「シューティングスターには対地攻撃後、部隊を降下。そのまま支援させろ」

 オペレーターに伝える。

 シューティングスターが機銃掃射を行い、ドローンを投下、続けて部隊がラペリング降下。周囲を掃討していく。

 それに合わせて車両部隊も到着。ここまで上手く進んでいる。どうにも納得できない部分はあるが、この好機を逃す手はない。

 大型の進路上にいくつかマーク。自動でナンバーが割り振られる。

「フルフォースを1及び3、オンスロートを2に移動後、待機。アーマーピアシングで誘い出して一気に仕留める」

 車両部隊が配置についていく間に、小型が片付く。

「アーマーピアシングに大型を誘い込ませろ」

 大型の正面に回り込んだアーマーピアシングが機関砲を何発か放って注意を向けさせる。その機首を向けたまま後退、それを大型が追いかける。

 害獣と地上部隊の火線が重なる。

「攻撃開始」

 左右の道に潜んでいたフルフォースが対戦車ミサイルを発射。大型進路上にオンスロートが展開、滑腔砲を放つ。

 後退していたアーマーピアシングは停止、ロケット弾を打ち込んでいく。

 瞬時に大型の活動を停止させる。AIによる判断は撃破。

 しばらく様子を見たが変化なし。

「作戦終了。全部隊を帰投させろ」

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