第24話 第二課へ

 暑いインドから帰って二週間が過ぎた。私は、希望して第二課に移った。第二課は、代理出産を依頼されるので、第一課とは、また違った難しさがある。

 第二課の業務は、従来は、人工授精用の卵の確保(代理母の確保)が、主であったが、この業界も時の流れに無関係ではありえない。

 精子の確保依頼もあったことはあったが、夫が無精子症のため、産婦人科で第三者の精子を用いて妊娠させる人工授精(AID)を希望したが、費用が高額なため自力で受精させたいので、精子の提供者の紹介をお願いしたいというものだった。

 そうしている内に、出自を知る権利の保障が叫ばれ出し、精子を提供する人間が減少して、現在はAIDの治療そのものが中止されてしまった。

 結局、現在の業務の精子の確保とは、精子提供者の確保となった。だが、この業務も長く続くとは思えない。

 iPS細胞の可能性は、計り知れないものがある。もし、簡単に安価で、男性の血液でも皮膚からでもよいが、精子が作製できるようになれば、無精子症などという病気は、この世から消滅してしまう。

 卵についても同様だ。これで、人工子宮が可能になったら、人間にとっての、生殖の問題は解決する。

 そうなれば、男と女の関係はどうなるだろうか。妊娠しないように、手術が一般化するかもしれない。倫理は崩壊するだろう。

 

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