..仙崎夫婦

養子縁組と特別養子縁組

...精子の確保

　相談室での打合せ、

「全くの他人ではなく、男性の血だけでも伝えたいという希望はありますか。希望があれば、完全には請け負いかねますが、手配はします」

「いや、私は、完全な無精子症で、それは無理ですね」

「あの、普通の養子縁組と特別養子縁組の違いが分からないのですが」

「普通の養子縁組は、実親の子どもを養親の子どもとする契約を結びます。その契約書に基づいて、裁判所の許可を得て、役所に届けます。そのこどもは、養親の養子になります。しかし、その子と実親の法的関係がなくなるのではありません。実親の遺産を相続することもできます。養子が養親の遺産を相続できるのは、勿論です。一方、特別養子縁組とは、父母による監護、育てることですね、が著しく困難または不適当などの特別の事情がある場合で、家庭裁判所の審判により成立します。実親との法的親子関係が消滅するのが、養子縁組と異なる点です。特別養子縁組では、戸籍に実親の記載はされません」

千崎夫「ところで、費用の内訳は、どうなるのでしょう」

「ここに明細がありますが、人件費が大きいですね。特に、弁護士・カウンセラー・養子引き渡しの際に必要なベビーシッター等ですね。

　できれば、夫婦どちらかの血を引いた子供が、欲しいという気持ちはわかる。そうして、できるだけお金をかけたくないという気持ちも理解できる。

私のもとには、相変わらず赤ん坊の斡旋を求める電話と赤ん坊を預けたいという電話が、来ている。