調理師認定と給食作り


 「直美!調理師免許取れた‼」美花が温泉小の1階で認定証を直美に見せ、抱き合って歓喜する。駆け寄って来た提灯と鈴、アキラに「おめでとう!」と4回胴上げされ、「ありがとう。罵倒してきた先輩が悔しがってた」とすがすがしい笑顔を見せた。


 「乾杯しよう!」アキラと鈴がリンゴジュースを家庭科室の机に置き、コップにそそぐ。ブロッコリーとチーズ入りのカレーを食べながら、「給食決定戦にも参加するんだろ?」提灯が美花に聞く。「うん。かぼちゃプリンを焼くよ」「おいしそう」鈴がカレーを完食し、嬉しそうに言った。

 金色のリボンがかかった箱を開封すると、調理服と帽子が入っていた。「実直が選んだんだぜ」提灯が言った時、実直が入ってきた。「合格したんだな」「はい。ありがとうございます、実直さん」


 「これ、母ちゃんが野鳥撮影会で作ってるカレンダー」実直が紙袋からキツツキとインコ、メジロの写真つきカレンダーを出して渡し「声出していくぞ」と号令をかけると、「フレー、フレー、美花!」アキラと鈴、提灯の応援が家庭科室に響いた。


 

 

 給食室では農家で余っていたかぼちゃのプリンが次々に焼き上がり、練習を終えた野球部の男子や教員たちが取りに来ていた。温泉小に20年勤務する調理師の男性・五月雨がヨーグルトとナン、プリンと木でできたスプーンをトレーに載せて渡し「300個焼くよ!髪が混入しないよう注意!」と美花に声をかける。「はい!」調理服と帽子を着用し、300個を焼き終えた。

 「かぼちゃプリン、美味しかったぞ!」アキラと提灯、鈴の声が給食室に響き、美花と五月雨は「ありがとう」と答えた。


 

 「余っている食材をもらいに行こう。給食の要望は『かぶらの煮物』と『マーボー豆腐』、『お好み焼き』『ハンバーグ』が多い。亮介先生とみづき先生が審査する」五月雨が美花に木桶の絵付きエコバッグを渡し、大量の大根や豆腐、卵などを持ち帰って給食室で案を出し合う。

 「ハンバーグは塩と大根おろしのどちらかを選べるようにして、中まで火を通しましょう」「うん。お好み焼きも、具を変えて作ってみよう」

 


 改善点を発見する試食会で、亮介とみづきから「減塩中の人には出せない」「お好み焼きは紅しょうがと青のりを『少なめ・山盛り』から選べるようにする」と率直な意見が出た。

 五月雨が「タマネギやトマトのソースを、小皿に入れて出すのは?」と美花に改善案を出すと、「お好み焼きは要望を聞いて、トッピングを増やしましょう」と嬉しそうに言った。


 

 実直や鈴からも意見を聞き、2週間をかけて改良した野菜のソース付き減塩ハンバーグと青のり・紅しょうが・かつおぶし入りのお好み焼きは、給食決定戦で『体に優しいで賞』『トッピングが多いで賞』を取った。


 

 



 


 

 

 


 

 



 


 

 


  


 

 



 



 


 

  


 






 

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