ラジオ局での出会い


 亮介とみづき、直美はSNSを使わずに対面で困りごとを聞くラジオ局『Young Flowers』で、黒い長髪に淡い緑の目の男性・フランクから「これを渡そうと思っていた」と名前入りの木製コースターを渡され、一員となった。

 「『Young Flowers』へようこそ。ローズよ」肩まである茶髪に青い目の女性ローズがみづき、直美と握手をする。

  

 

「これを着けていると『スポGOMI大会』やマラソンにも参加でき、メモ帳にもなる」木曜日の司会で『カフェ&バー 月明かり』の店主・天原睦月が言い、レモネードを飲む。

 「レモネードやラムネを常備し、輪島塗のお椀でロールキャベツやマグロの握りなどを出している」睦月は亮介と名刺を交換し、「相談にも来て」と付け加えた。


 


 

―――夕方。ローズとフランクが『Young Flowers』に戻ると、アレックスが「パパからのクリスマスプレゼント」と刑務官の男性から渡されたミニカー、防水ブーツ、スケッチブックと色鉛筆を見せて来た。

 「パパは更生に向けて運動やスピーチ、フルートの演奏をしてるんだ」「ロンドン警察音楽隊としても活動してるぞ」フランクはソファで寝息を立て始めたアレックスの髪をなで、2階に入る。



 「こんばんは。『Young Flowers』水曜日司会のローズと、フランク・バグパイプです。『刑務所からのクリスマスプレゼント』について、葉書を紹介します」二人は山積みになった葉書を1枚ずつ手に取り、見ていく。

 


 「更生に向け努力している親たちは離れて暮らす息子や娘の近況を聞き、電車の模型や帽子など長く使ってもらえるものを選んで刑務官の男性に渡します。

 オータムやヤヌアーたちにも不安なことを聞いてもらい、清掃や早寝早起きの習慣をつけ働き始めるのです。息子や娘へ、何を贈りますか?」



 「『本や手袋、フライパンなど』が多いわね」ローズは読み終えた葉書を夫に渡す。フランクは「ロールキャベツを食べに行くか」と答えて『カフェ&バー 月明かり』に貼るカイロを持って行き、睦月に渡した。


 「アレックスの父親は断酒訓練を続け、学び直しの授業にも参加しているそうだ」睦月がロールキャベツとミネストローネを輪島塗のお椀に入れ、ローズとフランクに渡す。

 「トラック運転手の試験を受けるらしいですよ。学び直しが広がっていますね」睦月の妻で警察官の弥生が言った時、亮介とみづきが入って来た。


 

 「茶摘さんは元気にしていますか?」亮介が聞くと「ああ。茶葉を乾かしながらそわそわしていたぞ」と睦月が答え、紅茶店までの道が書かれた地図を渡す。



 「茶摘さんは紅茶と音楽好きの男で、葉書を送ってくれるんだ」42歳の茶摘静雄が3人を席に案内し「亮介。田原家の大黒柱か」と嬉しそうに笑った。

 



 



 


 



 



 



 



 



 



 



 


 



 


 


 

 




 




 

 

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