ラジオと小中学生らの意見
紫の短髪で銭湯好き、赤ちゃんに好かれやすい17歳の男子・中秋は14歳で書道部の春香、12歳でサッカー部のリュウヘイらと銭湯高校に集まっていた。
「子どもの死亡事件防止に向け、親や交際相手の行動をハチに観察させる『ビーヘイバー』に教員30人が参加している。『Young Flowers』と連携することになった」国語教師の大木静人が言うと、「イギリスで聴いている人が最多のラジオ局!!!」とラジオ好きのリュウヘイが歓喜する。
「子どもを守るには?」静人の質問に、「オオスズメバチの毒で、重傷を負わせる親や交際相手を無気力にする」「泣き声が聞こえたり、あざや傷を見つけたら迅速に保護!」と中秋、春香から意見が出た。
「クモやムカデで驚かせる!」リュウヘイが言うと、「近所の人が悲鳴を上げるぞ。クモは噛まれるとかゆいし、怖い」と書道部の男子から声が上がった。
「俺は5歳の時にお母さんの同居相手にたたかれ、紙袋に入れられて公園に置き去りにされました」リュウヘイが言うと、中秋が激怒する。
「中秋。落ち着いて」静人に肩に手を置かれ、紙コップについだ水を飲んで落ち着くと机の上のラジオの電源を入れ、『トー横』にいる小中学生と高校生に向け呼びかける。
「『トー横』の小中学生と高校生!元気にしてるか?ロンドンのラジオ局『Young Flowers』で、俺と春香の意見が使われることが決まった。
合言葉は『つらくても、生きる』だ。お前たちのこと、気にかけてるから。殺人はしないで」通りに集まった7~18歳までの20人が、中秋の声に耳を傾ける。
「俺たちの事、気にかけてくれてたんだ」16歳と17歳の男子が涙ぐみ、腕に切り傷がある女子中学生が大声で泣き出した。20人は鷹野によって保護され、温泉小と
源泉中、銭湯高校の隣にある寮で暮らすことになった。
「静人先生。お疲れ様です」音楽の授業を終えた亮介が、「どうでしたか?」と聞いてきた。
「中秋は司会者の素質があるよ。リュウヘイは昆虫の話が多い。春香の字は遠くからでも見える」静人は湯気の立つレモネードを飲みながら「銭湯高校はラジオ好きが集まってる」と嬉しそうに言う。
亮介は職員室に入って来た校長の男性に「11月から12月まで、家族旅行でロンドンに行きます」と薄緑色のカードを渡す。
「旅を楽しんで!」校長はタンバリンを鳴らし、踊りながらブドウの皮をむいて食べ始めた。
「パパ、直美に会いたいね」ジョニー・ブックワームがトングでテムズ川の周りに落ちているビンや空き缶などのゴミを拾い、ビニール袋に入れながら父ジョブズに言う。
「ああ。家族旅行で来るらしい」ジョブズは「やった!」と歓喜する息子の髪をなで、亡き妻アンの墓に白バラの花を供えた。
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