サファーの怒りと温泉小マラソン部男子・マオのSOS
「子どもを害する交際相手を、なぜ取り締まらないの⁉」持ち運び式のラジオ・サファーが怒りをあらわにする。
「子どもの保護が最優先」迅雷が言った時、サファーのアンテナに『同居している配管工の男に洗濯機に入れられています!』と189の通報が入った。
現場に向かうと、洗濯機の中に温泉小6年でマラソン部主将の短髪男子・釧路マオがいた。足が腫れ上がり、手に切り傷ができている。サファーがアンテナを伸ばしてマオの腰に巻き付け、救出した。
「ありがとうございます」マオをたたこうとした男は長者によって洗濯機に投げ入れられ、洗剤や衣類と一緒に回されて気絶し懲役30年となった。
「直美」濃いピンクの髪を結んだみづきが、娘に向かって手を振る。「ママ」みづきは駐車場に積み上がった空き缶を見て「収集所に入るかな?」と小声で言う。
「放置自転車を活用して運ぶぞ」亮介の提案で元舞妓の温泉小校長によって20台に『運搬専用』の認定証がつけられ、空き缶が撤去された。
旅用として使われる自転車の荷台を雑巾で拭き終えた亮介が、「直美。手に土がついてる」と小声で言う。「清掃活動の時、ミミズを触ったんだ」「石けんで洗ってきて!」みづきの絶叫が駐車場に響いた。
「水と塩分補給して!」温泉小マラソン部の男子・伊勢崎マオが4年生に呼びかけた時、野菜から得た20個の知恵を持つオスのカミツキガメ・長者が「気温が高い」と言いながらキュウリとナス入りのかごと凍らせたタオルを渡した。
「4キロマラソン走破に向けて、暑さに体を慣らしてるよ」マオはタオルを首に当てて冷やしながら「長者さんはいつから鶴岡八幡宮にいるの?」と聞く。
「3年前かの。吸い殻が散乱する池で実兄の間欠泉と暮らしていた時、鎌倉警察署に連れて行かれたのじゃ。
『賽銭泥棒対策の巡回員にしてください!』というお主の一言で、仕事も得ることができた。ありがとうな」長者はマオの坊主頭に帽子をかぶせ、草むらの中に作られた専用の厠(トイレ)へと向かった。
校庭に戻ろうとした時、背後から不審な男が近づいてきてマオを抱え上げた。ハチマキに入れていた長者の歯を投げ、池に落下させる。厠から戻って来た長者が尺八を吹くと、温泉小の校長が「アイヤァ―――!」というかけ声とともに男を取り押さえた。
長者は座り込んだマオに冷たいレモネードを渡し、泣き止むまで待つ。(厠の前に、無音の動画用スマホがあった。盗撮・連れ去り防止用の尺八を、全員に持たせよう)
「帰宅できそうか?」「うん」横断歩道を渡り終えたマオが「ありがとう」と長者に手を振った。
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