ビーヘイバー がまぐち旅と再会
porksoup (ポークスープ)
5歳男児の救出
料理とブレイキン、寒ブリが好きな14歳の男子・氷見アキラは『子ども食堂 キンモクセイ』で調理師試験に向けた勉強を終えて鶴岡八幡宮に来ていた。
賽銭箱に五円玉を2枚入れ『調理師学校に合格しますように』と書いた絵馬を吊るし終えた時、コイがいる池の前に置かれたトランクの中から「助けて!ママと暮らす男の人に殴られた‼」と5歳男児の声がした。
オオキバドロバチのラフが、オレンジ色のキバで泥を固めて作った板をアキラと温泉小音楽教師の亮介に渡す。声をかけあいながらトランクの鍵を粉砕すると、緑色のTシャツと青いズボンの男児が亮介のコートにくるまった。
「食事を与えられてないな。子どもより交際相手か!」アキラは憤慨しながら189(いちはやく)を押し、『5歳男児を鶴岡八幡宮で発見。背中に殴られた傷があり、痩せています』と鎌倉警察署に連絡。20代の男がミミズたちに腕力を弱められ、廃人にされた。
「おもちゃを片付けなかったから、1週間トランクに入れられてた」池の前に座って泣き出した男児の顔に付着している泥を、キイロスズメバチの奮迅(メス)が柔らかい葉っぱで拭く。
男児は温泉小の隣にある男子寮の浴室でアキラに髪と顔を洗ってもらい、「ありがとう」と笑顔を見せた。
カウンセリングルームで青ネギと大根おろし入りのうどんを3杯食べ終え、気合いを入れた温泉小カウンセラーのジル・ブライト・ミールは亮介の妻で『虐待減少新聞』発行者のみづきからいきさつを聞き「殴られたら重傷を負うじゃない!」と憤慨。「落ち着こう」みづきがジルの肩に手を置いた時、コンコンという音が響いた。
黄色いパーカーと白いズボンを着用して緑色の丸椅子に座った男児は小声で「こんにちは」と二人に言う。「はじめまして、ジルよ。青ネギと大根おろし入りのうどんと草餅が活力源!」「毎日3杯食べるんだよ」みづきがバウムクーヘンをかごから出し、机の上に置く。
「アキラお兄ちゃんとお好み焼き食べた」「キャベツが入ってたでしょ。おいしかった?」「うん。ルービックキューブやりたい」ジルは男児に完敗し、「次までに黄色をそろえる!」と目標を立てた。
「ただいま」亮介はみづきと9歳の娘直美に「温泉小と源泉中、銭湯高校で近隣を巡回し、子どもを保護する訓練が行われる」と報告し、黄色と水色の羽で暗唱が得意なメスのセキセイインコ・タルトに薄く切った桃を与える。「タルトは情報収集も得意だもんね」直美に羽をなでられ「ピッ」と鳴いて嬉しそうに桃を食べる。
みづきが「温泉小から届いてたよ」と言いながら『巡回中』と書かれた名札を封筒から出し、亮介に渡す。「ありがとう」「訓練は夕方まで?気を付けてね」「ああ」と答え、亮介は妻の肩に手を置いた。
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