第26話 滅亡の始まり
2038年10月9日 22時08分頃 とある人間同士の音声通話にて:
「一点集中照射型システムKL-Iの緊急配備は、出来たか?」
「いえ、それが実はまだで……」
「なぜだ?トラブルがあったのか?もしそうなら、そっちで解決しろ」
「しかし……」
「しかしじゃない。こっちも含めて、どこも余裕がないんだ!」
「そうですよね。こちらで対処します」
2038年10月10日 1時24分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:
「一点集中照射型システムKL-Iが4つと、多方面同時照射型システムKL-IIが2つか。計6つの武器があると考えれば悪くない」
「まあ、もっとあれば理想的ではありましたが」
「だが、理想をぼやいても、そこにはなんの意味もない。限られた手段の中から、最善手ともいえる行動を取ることが大切だ」
「具体的には何を?」
「一点集中照射型システムKL-Iを4つ使って、1か所に集中的な照射を行う」
「KL-IIは使わなくていいのですか?」
「KL-Iと同時には使わない」
「それはなぜ?」
「ゼロ・トリガーを破壊した後のことまで考えているからだ」
2038年10月10日 5時49分頃 とある人間同士の音声通話にて:
「300発の対物宇宙ミサイル、発射準備完了です!」
「目標は見えているか?」
「はい、はっきりと視認できます」
「よし、一斉発射しろ」
「了解です。一斉発射まで、3、2、1……!」
【ピュピューン、ピュン、ピューン、ピュンピューン】
2038年10月10日 9時14分頃 とある人間同士の音声通話にて:
「ゼロ・トリガーの破壊は出来たか?」
「それが……、全く出来ていません。破壊どころか、届きさえもしないのです」
「何度でもやれ。やるんだ。人類の未来は、我々を含む世界中の政府の、決断と勇気に懸かっている」
「今も、破壊は試みています。それでも出来ていないのが現実です」
「原因さえ判明すれば、対策して破壊するのは、不可能ではないだろう?」
「対策するには、ゼロ・トリガーの外側を覆う、バリアのようなものを調べなければならないのに、どうやって?結局は、人類の培った技術よりも、ゼロ・トリガーの方が遥かに上なんですよ……」
2038年10月10日 11時30分頃 とある媒体に録音された人間たちの会話にて:
「お前、何ボーっとしてるんだよ」
「ああ……、悪いな。それで、俺は何をすればいいんだ?」
「これだよ、ほら。受け取れって」
「ありがと。じゃ、やること終わったら、ここに来るからよろしく」
「行ってらっしゃい、頑張れよ~……。ふぅ、それにしても今日、暑くないか?」
「言われてみれば暑いな。いつもはもっと快適な気温なのに」
「雲ひとつない快晴だからかぁ~?」
「かもな~……って、あれを見てみろよ」
「あれ?あー、もう見慣れただろ。今更驚くことなんて……。っておい、なんで、あの巨大な物体が光っているんだ……」
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