第24話 捜査中断

2038年9月29日 15時08分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:


「オルムの大統領銃撃事件の捜査主任は、君かい?」

「そうですが、用件は何です?」

「いや、なんとも言いづらいことではあるんだがね……」

「どうしたんですか、はっきり言ってください」

「その事件の捜査、中断してほしいんだよ」

「上からの圧力ですか?」

「そういうことだ。なんでも、もう1人の銃撃犯がヤバい組織と繋がっているのか、事件を追っているジャーナリストや、重要証人が次々と命を落としてる」

「捜査中断は絶対命令なんですか?」

「ああ。もちろん、個人としても、この事件には関わらん方が良い」

「分かりました……。話は以上ですね?」

「そうだな。それじゃまた」



2038年10月2日 8時13分頃 とあるメディアのニュースにて:


「オルムの大統領が銃撃された現場近くの公園で、変死体となった人の遺体が見つかりました。付近には鞄が落ちており、カバンの中には身分証など、本人を特定できるような物が幾つか入っていました。変死体となった人物の身元特定は、身分証本人のものと一致するか調べながら、進めているということです」



2038年10月3日 15時36分頃 とある人間の会見映像にて:


「オルムの大統領銃撃事件の解明に向け、あらゆる手段を講じてまいりましたが、今回、この事件の捜査を中断するということが決定いたしました。まことに不本意ではありますが、皆様には深く理解していただきたく思います」



2038年10月4日 10時47分頃 とある人間同士の音声通話にて:


「捜査中断って、何のための警察なんですか?」

「事件が起きた時に、状況を正確に把握し、執念深く犯人を追い詰めて、捕まえる。そのためにあるのが警察だ」

「じゃあ、何で警察は、動こうとしないんですか!」

「すまないが、世の中には知らない方が良いこともある。理解してくれ」



2038年10月7日 2時24分頃 とある媒体に録音された人間たちの会話にて:


【ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ】


「おい、警報が鳴っているぞ。何が起きているのか確かめろ!」

「はいっ!警報感知、異常確認。座標は地球外」

「地球外だって?そんなはずは……」

「なんだこれ……。デカい、デカすぎる。地球の何倍だよ……」

「これがもしかして、世界中で噂になっていたゼロ・トリガーなのか……?」

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