第22話 射殺

2037年9月21日 14時51分頃 とある人間の演説映像にて:


「戦うという選択肢をオルムの中から排除したのは、世界協同連合の側であり、我々は戦争を回避するため、あらゆる手段を尽くしていた。間違っているのはオルムではない。正義は常に、我々の手の中にあるのだ」



2037年9月21日 15時03分頃 とある媒体に録音された人間たちの音声にて:


「おい、撃たれたぞ!」

「誰か、お医者さんはいませんか!?」

「逃がすなァ!」

「なんで、こっちも撃たれているんだ!?」

「いいから捕まえろ!」

「誰でもいいから、病院に電話をかけてくれ」

「クッソ、病院が見つからない!」

「お前、なんてことをしてくれたんだ!こっちに来い!」

「救急車を呼べ!」

「このままじゃ、失血死するぞ」

「手で止血を……。いや、ハンカチを使え!」

「ダメだ、間に合わない……!」



2037年9月21日 15時37分頃 とある人間同士の音声通話にて:


「すみません。緊急ですが、病床は空いていますか!?」

「空いていますよ、何があったんです?」

「オルムの大統領が撃たれたんだ!そっちに搬送するから、すぐに準備してくれ!」

「分かりました……。救急車が到着次第、迅速に救命処置を行います」



2037年9月21日 19時20分頃 とあるメディアのニュースにて:


「オルムの大統領であった男性が、搬送先の病院で亡くなったということが確認されました。死因は、弾丸による失血死とみられています。現在、午後19時20分を指していますが、引き続き、このニュースをお伝えいたします」



2038年9月22日 9時14分頃 とあるSNSの動画にて:


「しかし、私たちは、多国籍軍による攻撃で、苦しい状況に立たされている。オルムの国民を守るという使命のためにも、ぜひ、皆さん方には……」


【バーン、バーン】


2038年9月22日 18時36分頃 とある媒体に録音された人間の独り言にて:


「……ん?これは何だ?もう1度見てみるか……。やっぱり、黒い物体が別方向から飛んできている……。映像に乱れがあるわけじゃ……、無いよな。埃でもないし……。だとしたら、この事件には、複数の犯人が存在している……?」

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