第21話 反戦運動

2038年9月12日 17時05分頃 とある動画サイト上の動画にて:


「一部の人間の身勝手な理由によって、罪なき人々が家を失い、命を落としています。どんな理由であれ、戦争が利益を生むことはありません。悲しむ人を増やさないでください。こんな死体を見ても、まだ人を殺せるのですか?」



2038年9月15日 8時26分頃 とあるメディアのニュースにて:


「戦争に抗議する反戦デモがオルム各地で発生しました。平和的なデモにも関わらず、これまでに20の都市で1600人余りが、治安当局によって拘束されているということです。オルム政府は、こうした事態が長引けば、戦争継続の障害になりかねないとして、厳しく取り締まる姿勢を見せています」



2038年9月16日 13時39分頃 とあるSNSの動画にて:


「この動画が公開されたということは、私は既に他の友人たちと同様に、治安当局によって連行されたのでしょう。なぜ、平和を訴えるだけで捕まるのでしょうか。理由も分からず、私たちが突然、この世界から消されることのないよう、支援や協力を強くお願いします」



2038年9月17日 21時43分頃 とある媒体に録音された人間の話にて:


「オルム国民は、戦争を望んでなんかいない!それでも、オルム政府は結果的に、戦争の原因を作っている。これでどこが、国民を守る政府なんですか?政府失格じゃないですか!良いですか皆さん、私たちは何が何でも戦争を止めなくてはいけない。命を懸けて何かを守る時があるとしたら、それは今なんです!」



2037年9月21日 11時12分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:


「外が想像以上に騒がしいな」

「『戦争反対!』などと言って、反戦運動しているんですよ」

「ふむ。煩くて仕方がない。静かにさせろ」

「分かりました。しばらくお待ちを」


「おい、何でもいいから治安部隊の数を増やせ!すぐにだ!」

「常勤は既に全員、出動済みです……」

「なら、非常勤を緊急招集させろ!時間がないんだ、分かっているのか!?」

「はい……。連絡して直ちに向かわせるので……」

「絶対、制圧しろよ?数時間後には、オルムの大統領の演説なんだぞ!」

「分かっております、分かっておりますから……」

「失敗したらタダじゃ済ませない。それだけは覚えておけ」

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