第20話 報復
2038年9月3日 12時10分頃 とあるメディアのニュースにて:
「天然資源国機構への報復として、世界協同連合の参加国メンバーからなる多国籍軍がオルムに投入されました。オルモ側の死傷者は軍や民間人を合わせて、5700人にも上り、これからの戦況次第では、さらに大きく増える見込みです」
2038年9月4日 20時51分頃 とある動画サイト上の動画にて:
「知らない方向けにお話ししますと、オルモというのは、天然資源国機構を構成する参加国の中でも、いわば中心的な存在なわけです。ですから、オルモへの報復を行うことで、天然資源国機構の決定を撤回させようという狙いが、世界協同連合側には少なからずあると思いますよ」
2038年9月6日 14時39分頃 とあるSNSの動画にて:
「我々オルモ軍は、多国籍軍の兵士を多数、捕虜として拘束している。オルモ軍にのみならまだしも、オルモの民間人にまで危害を加えるのは許されることではない。今後も、このようなことが続くのであれば、捕虜は全員、処刑する」
2038年9月8日 1時13分頃 とある人間同士の音声通話にて:
「一部捕虜の救出に成功した」
「よくやった。捕虜の負傷具合は?」
「捕虜6名のうち、重傷者1名、軽傷者4名。残り1人は目立った外傷なし」
「捕虜は、他にもいたか?」
「救出した6名のほか、3人の捕虜がいたが、既に死亡していた」
「3名の捕虜が死亡、了解。民間人への被害状況は?」
「少なくとも4人が死亡。うち1名は、多国籍軍側による正当防衛のための射殺。残り3名は不明。しかし、誤射による射殺が理由であると強く推察される」
「民間人4名の死亡、了解。救出を続けろ」
「承知した。指示に従い、救出の継続を実行する」
2038年9月12日 10時27分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:
「SNSに仲間を募るメッセージを投稿したけど、これで充分?」
「いいや、もっと呼び掛けてくれ。世界からの注目を集めるためだ」
「それならフェイク動画も作っておこうか?」
「頼む。戦争を終わらせるには、国際社会の支持を得るのが1番だからな。多少、過激な動画になったとしても、多くの人に見られた方が良い」
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