第15話 再調査

2038年7月17日 15時05分頃 とある人間の会見映像にて:


「事実関係を明らかにするべく再調査を実施した結果、ウェルツのウィエンを爆撃したのは、ネアノニアではありませんでした。ネアノニア政府には、深く謝罪するともに、このようなことが再び起こらないよう、再発の防止に努めて参ります」



2038年7月17日 18時20分頃 とある媒体に録音された人間たちの会話にて:


「それで、ウィエンを攻撃したのは?」

「サリージャだ」

「なるほど。あの国ならやってもおかしくはない。しかし、なぜだ?なぜ、停戦合意後に攻撃をしてきた?」

「考えられるケースは現状、1つしかない。それは……」

「それは?」

「サリージャが、戦争の継続を望んでいるからだ」

「武器を売って儲けるのなら、軍事強化という目的だけで充分なはず」

「サリージャは、一体何を望んでいる?」

「少年兵だ。戦争によって家族を失った子どもたちを引き取って、自国の駒として使えれば、それだけで戦力になる」

「サリージャは、少年兵を戦争の最前線に投入するつもりか?」

「違う。聖戦という名の自爆テロに使うんだ」



2038年7月19日 21時16分頃 とあるメディアのニュースにて:


「停戦合意により、訪れたかのように見えた平和でしたが、突然の爆撃が原因で多くの人々が亡くなり、さらには行方不明者まで出ています。ウィエンに被害をもたらしたサリージャとは、どんな国なのでしょうか。サリージャの政治情勢に詳しいホズロ記者を今回はお招きし、視聴者が気になるであろう疑問を解消しつつ、今後の展望についてお伺いしていきます」



2038年7月20日 14時34分頃 とある人間同士の音声通話にて:


「支援はどうなってる?」

「ようやく解決の道筋が見えてきてね。支援対象のものなら、希望者全員に何でも提供できるようになったんだ。これも、みんなのお陰さ」

「そうか。少しではあるが、俺も協力した甲斐があったっていうもんだ」

「何言ってんだよ。ナクは、特に積極的に動いてくれてただろ?」

「そうだな。そういうことにしておこう……」



2038年7月22日 13時47分頃 とある人間の会見映像にて:


「サリージャのウェルツに対する行動からは、社会の安定を崩し、世界平和を脅かそうとする明白な意図が見て取れました。永続的な世界平和を達成するためにも、サリージャは謝罪をし、相応の賠償額をウェルツに支払うべきです」

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