第11話 深まる疑念
2038年2月28日 17時13分頃 とあるメディアのニュースにて:
「去年、ゼロ・トリガーがあるとして示された証拠のうち、とある動画配信者のライブ映像が、合成による偽造だと判明し、さらには、政府お墨付きのデータだと言われていた統計資料にも一部、不正があることが分かりました。ゼロ・トリガーの存在理由3つのうち、2つにあった偽造や不正。それにより、ゼロ・トリガーは存在するという確かな信頼は、揺らぎ始めています。そもそも、人類を滅ぼす究極兵器は、本当に存在するのでしょうか?」
2038年4月14日 09時00分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:
「ゼロ・トリガーがあるっていう証拠、なくなったってさ」
「え、3つとも?」
「それだけじゃない。それ以前に提出された複数の証拠も含めてな」
「じゃあ、ゼロ・トリガーはないんだね!」
「本当にそう思うか?それにしては、色々と不審な点が多い気がするが……」
「とある研究者の死の真相や、相次ぐ政治家の死亡のことでしょ?みんな、病気や、交通事故で亡くなっただけだよ」
「でも、それ以外の人たちも消えてる」
「え……?」
「ゼロ・トリガーの存在に否定的だった有名人が、場所を問わず、公の場から消され始めているんだ。意図的なのかは不明だけど、ゼロ・トリガーは無いと発言している一般人が消される日も、そう遠くはないかもしれない」
2038年4月25日 23時41分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:
「なんか最近、治安悪くなったよな~」
「元々、良い方ではなかったけど、さらに悪化したよね」
「ホントな。ところでさっき、お前が言いかけてたことって何なの?」
「世界協同連合が、ゼロ・トリガーに対抗するための専門的な組織を立ち上げるんだって。複数のメディアのニュースによれば、特定の対象物を専門とした組織としては、人数も、予算も過去最大規模らしいよ」
「なあ、ずっと前から思っていたんだけどさ、ゼロ・トリガーが人類を滅ぼすっていうのは、誰かが作り上げた壮大な作り話じゃないのか?」
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