第10話 対立

2038年1月27日 15時29分頃 とあるメディアのニュースにて:


「ゼロ・トリガーは、何度も言っているように不確かな存在だ。仮に存在していたとしても、我々人類の軍事力でどうにかできるとは思えない」


「世界を主導する16か国の国々が集まった国際会議の場で、ウェルツ民主国のバーハ首相がこのように発言し、世界中で大きな波紋を呼んでいます。果たして、ウェルツ首相は、今後、ゼロ・トリガーに関する問題で、足並みを揃えようとする各先進国に対して、どのような対応を取るのでしょうか。これからの一挙手一投足に、世界の注目が集まりそうです」



2038年1月29日 18時54分頃 とある人間の会見映像にて:


「国際社会が一丸となって対処すべき問題に、正面から取り組もうとしない国々が一部ある。ゼロ・トリガーは、一国だけで収まるものではない。世界レベルで協力し合わなければ、到底、解決できない脅威だ」




2038年2月4日 10時15分頃 とあるSNSの動画にて:


「私は、ゼロ・トリガーによって、人類が滅亡するとは思いません。神による裁きがゼロ・トリガーによって実行された時、善き行いをしてきた者だけが、生き残ることが出来るのです。これは、悪しき者たちを掃討し、全人たちのための世界を創ろうという、神の意思に違いありません」



2038年2月4日 12時47分頃 とあるSNSの動画にて:


「私からの最後の予言になりますが、2040年までに人類は必ず、滅亡します。これは、避けようがない運命です。例え、世界中の国々が結束しても、ゼロ・トリガーには敵いません。私たちにできることは、滅亡の日が1日でも遅くなるように祈り、それまでに何をしたいのか考えて、後悔なく実行していくことだけです」



2038年2月9日 21時03分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:


「いい、メア?ゼロ・トリガーが無いなんていうのは嘘だからね」

「うるさいなあ。何か証拠でもあるわけ?」

「とある研究者が存在するって、言ってたじゃない!」

「そんなの証拠にならないし」

「証拠なら、とある研究者が3つも挙げていたわ」

「その割には、全く言及されてないし、調査だって進んでないじゃん」

「それは、これから始まるのよ」

「あっそ。私は、どっちでもいいけど。とにかく、お母さんとこの話題について話すのは、もうウンザリだから、自分の部屋に戻るね」

「まだ、話は終わっていないの!待ちなさい、メア!」

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