第7話 疑惑

2037年10月26日 10時37分頃 とある動画サイト上の動画にて:


「先日に起きた、ジザロ大統領の退陣を求めるデモ活動。この大規模なデモを調査すればするほど、ある海外政府が、このデモに対して、何らかの工作行為を行った疑惑が浮かび上がってきました。この疑惑は本当なのか。だとしたら、何の目的で工作をしたのか。その真意に迫っていきます」



2037年10月30日 18時04分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:


「貴方、ずいぶんと炎上されていませんか?」

「ハッ、気にすることはない。俺を気に食わないと思っている連中が、嘘を並べて騒いでいるだけだ。相手せずに、無視するのが1番だろうよ」

「では、貴方が良からぬ発言をしたという彼らの主張は、間違っているという認識でいいんですね?」

「もちろん、そうに決まっている」

「貴方のこと、信じていますよ?」

「そうしてくれ。俺が、そんな発言をしたというのは虚偽の情報だ」



2037年11月15日 14時20分頃 とある媒体に録音された人間同士の会話にて:


「良き友人である、フォークン大統領よ。お待ちしていた」

「久しぶりですが、お会いできて幸栄です。ヴェーラー首相。早速ですが、まずは握手させてください」

「おお。やはり、我々の絆は強固であるな。今後も、両国の関係が良好のまま続いていくことを望みたいところだ」


「さて、本題は何だ?」

「率直に言いますと、ゼロ・トリガーの件です」

「なるほど。アレに関しては、国境を越えた協力が不可欠だ。欲しいのは武器か?望むのならば、戦闘機の共同開発も積極的にやっていこうぞ!」

「いえ、知りたいのは、とある研究者と、あなた方政府の関係についてです」



2037年12月2日 22時46分頃 とある人間同士の音声通話にて:


「なら、やっても良いと?」

「そういうことだ。よろしく頼む」

「ああ、任せろ」

「くれぐれも、失敗だけはするなよ?」

「分かっている」

「よし。またあとで連絡する」



2037年12月19日 17時13分頃 とあるメディアのニュースにて:


「ゼロ・トリガーの研究で広く知られていた、とある研究者が亡くなりました。検死を担当した警察や、検察官などによりますと、13日夜から14日未明頃、心疾患のため、亡くなったということです。62歳でした」

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