第18話 四度目の告白

 遊園地の頂上付近で、四度目の告白を行った。


「加奈さん、好きです」


 加奈は返答に困ったのか、視線をそらした。


「すぐに返事をしたいけど、心の整理をするための猶予を欲しい。最初に感じていた気持ち、現在の気持ちが乖離しすぎていて、脳内パニックを起こしているの」


「そっか」


 最初の告白をしたときは、浮気率99パーセントで、二番目もしくは三番目にしかなれないといっていた。どんなに頑張ったとしても、恋人とみなすのは厳しい状況だ。


「今日のことなどを踏まえて、じっくりと考える時間を欲しい。最初の告白のときよりも、いい返事をできると思う」


 四度目に失敗したことよりも、運と距離を縮められたことを前向きに考えよう。普段はネガティブな男も、今日ばかりは前向きになれた。


「光さん、隣に座ってもいい?」


「うん、いいよ」


 加奈は隣に腰かけようとする意思を見せるも、結局は元の位置に戻った。


「加奈さん、どうしたの?」


「よくわからないけど・・・・・・」


 頭の中で錯乱状態を起こしている。観覧車を降りるまでは、そっとしておいた方がよさそうだ。


「光さん、二周目も回りたい」


「加奈さん、いいよ」


「昨日はほとんど眠れなかったら、観覧車の中で寝ることにするね。二周目の最後になったら、おこしてほしい」


 光だけでなく、加奈も睡眠不足だった。今回にかける思いは、彼女も強かったのかなと思った。


「わかった」


 加奈はすぐに眠った。光もなぞるように、観覧車の中で睡眠を取った。


 疲れがピークに達した男女は、四週目になるまで眠り続けていた。あんなに明るかった外は、真っ暗に染まっていた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る