第14話 三度目の告白

 光はどうしても諦めきれず、三度目の告白を行った。


「加奈さんのことが好きです。お付き合いしていただけないでしょうか?」


 一度目の告白、二度目の告白で浮気率99パーセントといわれた。そのような女性と、恋仲になる展開は期待できなかった。


 三度も告白した男性に、加奈は白い歯を見せてくれた。


「光さんは、とことん一途な男性みたいだね」


「僕は不器用な男だから・・・・・・」


 加奈はこれまでとは異なり、ちょっとだけ間を置いた。返事をどうすればいいのか、悩んでいる。


「三回目の告白についても、私の意見は同じままだよ。99パーセントの確率で、他の異性を好きになるんじゃないかな」


 語尾は一度目、二度目と変わっている。99パーセントとはいっているけど、内心は傾いている可能性もある。そうだとすれば、前に大きく進んだことになる。


 光は落胆した様子を見せずに、次の告白について話をする。


「4回目の告白をしてもいいですか?」


 加奈は大きく頷いた。


「一カ月後に同じ気持ちなら、告白していいよ。私たちはもうすぐ卒業だから、実質的にラストチャンスになるね」


 ラストチャンスに失敗すれば、交際をするチャンスはなくなる。加奈にささげてきた時間のすべては、無駄に終わる。


 加奈から提案をされた。


「光さん、一緒にいる時間を増やそうよ。お互いのことを知ることができれば、興味を持てるようになると思える」


「僕はあくまでこうさ・・・・・・」


 加奈は眉間に皺を寄せる。


「そんな考え方をしていると、誰とも付き合うことはできないよ。どこの誰ともわからない異性と、前向きに交際したい女性はいない。すぐに交際しようとする女がいるとすれば、異常者だと思ったほうがいい」


「そっか」


 加奈はこれまれにない、笑みを見せてくれた。


「三度も告白してくれるのは、すっごく嬉しかった。光さん、本当にありがとう」


 笑顔に引き込まれそうになるも、すんでのところでストップさせることができた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る