第7話 関係を進展するチャンスすらありません

 図書館で話をしてからは、会話をする機会は訪れなかった。


 友達からでいいといっておけば、会話をするくらいはできたのかな。彼女になりたいといったことで、墓穴をほってしまった。


 物理Ⅱの準備をしていると、明が接近してきた。


「光、恋愛はうまくいっているか?」


 光は元気のない声で答える。


「まったくだよ。距離を縮めるための、ヒントすらつかめそうにない」


 交際率はたったの一パーセント。ヒントをつかむことすら、厳しい状況にある。


「明はうまくいっているのか?」


 明には四月から交際をスタート。付き合っている相手は、一つ下の女の子。


「どうだろうな。うまくいっているともいえるし、うまくいっていないともいえる。

一人だけで答えを出すのは難しい」


 前回に聞いたときは、最高にうまくいっているといっていた。相手のことをわかってきたことで、マンネリ化しているのかな。交際開始直後がピークで、あとは下がっていくだけというのはありがちだ。


 加奈は女の子とおしゃべりをしていた。光と一緒にいるときよりも、ずっと、ずっと楽しそうにしている。クラスメイトに対して、心を許しているのを感じ取った。


 心は一人で本を読んでいた。独特のオーラを発しており、自分の世界観に入り浸っているのを感じた。大声で話しかけられたとしても、声を完全にシャットアウトすると思われる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る