第2話 高嶺の花の女の子から好意を寄せられています

 加奈以外にも、女性はたくさんいる。そんなふうに割り切れたら、どんなに幸せになれるんだろうな。


 加奈に振られたことを、明にラインで報告する。


「それは残念だったな。告白しただけで、前に進めんじゃないか」


「前進1パーセント、後退99パーセントだ。告白したことで、絶壁に立たされた気分を味わった」


 交際をスタートされる前から、浮気宣言されるのはあまりにも残酷すぎる。10パーセント、20パーセントなら割り切れたけど、浮気率は驚異の99パーセント以上。100回交際すれば、99回以上は浮気確定。前に進むためではなく、裏切られるために交際をするようなものだ。


 せめてもの救いは、お付き合いしている男性がいないこと。誰かと交際スタートさせれば、完全にジ・エンド。光のつけいるスキは失われる。


「光はどうして、心さんと距離を縮めないんだ。接点のないものからしても、明らかに好きなのは伝わってくる」


 心はとってもかわいい女性で、実家は1000兆のお金を持つ資産家。世の中のすべてを享受したかのようだ。


 美人と交際する、逆タマにのる名目で、交際をもくろむ男子生徒は多い。狭い学校の中だけでも、倍率は100倍、200倍に達していると思われる。外部を含めると、5桁。6桁に達していてもおかしくない。


「雲の上の存在すぎて、釣り合わないような気がするんだ」


 光は米粒、心は雲の上の存在。どんなに努力をしたとしても、追いつくのは難しい。


 資産家は教育が厳しそうなイメージがある。監獄同然の生活を想像するだけで、体のあちこちがかゆくなる。


「それはあるかも。あまりに高根の花すぎて、声をかけるのも難しい」


「資産家というのは、婚約相手もおそらく決められている。婚約者とされた男以外は、近づいてはいけない」


 確固たる地位を入手するために、縁談を勝手にまとめる。本人の意思というのは、二の次、三の次だ。


「婚約者を決められている女性と、交際したいとは思わないか。俺もそれについては同意見だ」


「そうだよな・・・・・・」


 ラインをやめた直後、加奈の顔色が浮かんできた。99パーセントは裏切られるとわかっているのに、好きでいるのをやめられなかった。

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