第510話 取り憑かれてた言葉は現実の自分のトラウマか、真実はいかに。
「あ、いた!ジャングルジムの一番上!」
「上?ってデカ!ジャングルジムデカ!」
「日本一デカイジャングルジムらしいよ?」
「そんなてっぺんまで一気に登って……」
周りはクッション製の生地を使っているので落ちても大丈夫だが…………
「だとしても命がけ過ぎない?」
「必死だね!お姉さまも捕まりたくないんだよ!」
結婚したくない思いは岩よりも重いのか。
「登ろう!」
「バカ、登るってもあそこまでいくのにどれだけかかるか………」
「あ、お母さま。あ。」
「え。」
うちの姉がいるジャングルジムのてっぺんまでうちの母が例えるなら猿のように軽快なステップで登り一気に姉の元まで辿り着いた。
「嘘だろ………」
「元気だね!」
「元気とかいうレベルの話じゃないし。まず生命体としておかしいから。」
「元陸上部なんじゃない?」
「うちの母親、吹奏楽部。」
「吹奏楽部もキツイって聞くからね。」
「だからってあんなスピードで上がれる力ある?吹奏楽部ってそんなハードなのか?」
「ハード、ハード!腹筋使うし腹式呼吸だし。重い荷物も持つし男子は入りづらいし男子だからって低い音の楽器ふかされたりしてあげく怒られて舌打ちされてそれで………」
「待って待って。後半お前誰かに取り憑かれてなかった?なんかの怨念みたいなのがペラペラ舌を動かしてたぞ?」
「え、何のこと?」
「…………自覚ないならいいか。」
とりあえず今は姉貴だ。
「母さん!姉貴を下ろして!そしたら全員包囲網作って逃げれなくするから。全員隅から隅まで逃げ道をつくるな!」
計7人の包囲網が完成した。
「母さん!下ろしてきたら勝ちだから!下ろし………」
「私が捕まえる。」
「え?」
「お前らは捕まえるな。」
「え?な、何て?」
「これは女と女、娘と母の戦いだ。あんたら包囲網を解きな。この子を捕まえるのはアタシだから。アタシが捕まえて、アタシが絶対結婚させるから。」
「か、母さん?もう時間ないんだよ?もう、あ、後10分しかないんだよ?」
「10分、心音。ここで睨みあってもいいけど。本気でやりたくないか?」
「本気で?母さん、年なんだからやめといたら?私に勝てる訳ないし。」
「勝つ自信があると?」
「もちろん。」
「じゃあ最終場所変えようじゃないか。」
「変える?」
「お互いに本気になれる場所に。行こうじゃないか。」
「なるほど。あそこね?いいよ。勝負してあげる。」
「何か2人で会話してるね?」
「何会話してるんだ?」
「猥談?」
「何処でどの状況で何の会話してると思ってんだよ。お前は。」
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