第508話 ボケてこそ私。それはアイデンティティー
3階、スポーツが楽しめる施設。トランポリンにジャングルジムみたいなヤツそしてパルクールが出来る場所もある。
「ここ?ここにお姉さまがいると?」
「勘だからな?」
「分かってる。分かってる。分かってるって。」
「さぁ、探すか………」
「何でここ?」
「は?」
「はてさてその理由はいかに?」
「え~と、さっきも言ったけど姉さんは負けず嫌いの逃げ足がめちゃくちゃ速い人だ。だからここのエリアなら地形も逃げやすいし隠れるよりも逃げやすいこの場所を選んだんじゃないかな、って。………あ、だから勘だからな?勘ってとこは間違えんな………よ……って」
晃太の目線と香織の指差す先には、心音がいた。
「晃太くん!占い師やらない?1回5000円で!」
「やらないしやりたくないし。まず占いじゃないし、これ勘だから。勘。勘だから。分かる?」
「2度当たれば勘も勘じゃなくなる!占い師目指してみない?」
「そんな博打に出れるか!てかバカ言ってないでさっさと捕まえるぞ!」
「おうよ!」
姉さんがいたのはトランポリンの場所、全面トランポリンで動きづらい。だが姉さんは巧みな足さばきで華麗に動きまくる。足を安定させることに必死なこっちとしては何も出来ない。ギア5で動き回るルフ○をただ見守るカイ○ウみたいになってる。って言ってる間に姉さんはトランポリンエリアから脱出し次の場所へ。
「めちゃくちゃ速いね。もうこうなったら全員ここに呼んで8人全員力の数で押しきろう!」
「いや、まだお前呼んでなかったんかいってツッコミは後にして…………お前さっきトランポリンの時何してた?」
「え?必死にお姉さま捕まえようと………」
「横で座った態勢でビョーンビョーンビョーンって何回も落ちては座って落ちては座ってはたまた落ちてはそのまま後ろにコロコロ転がって………」
「可愛いでしょ?」
「可愛いとかより視界に目障りなんだよ。いや、目障りじゃねーな。視界にチラチラ写って気が削がれるんだよ。」
「可愛くて?」
「みっともなくて!みっともなくてスゴい邪魔だったぁ。」
「ひど~い。言い方。」
「酷いもクソもねぇだろうが!あと何分だ?」
「え?18分。」
「もう18分しかないんだよ?ないのに何遊んでんの?」
「遊んではないよ!しっかりやってるよ?」
はぁ………っとため息をつく晃太。
「あのさお前はどうしたいわけ?姉さん捕まえたい訳?」
「鬼は逃走者を捕まえることが義務だから!だから捕まえる!捕まえるよ!」
「じゃあ俺もそれに乗ってやるから1つ約束しろ。」
「約束?」
「あぁ、簡単なことだ。ボケるな。ボケることをやめろ。」
「えーボケてこその私なのに?」
「じゃあ18分間自分を押し殺せ。そしたらちゃんと手伝う。分かった?」
「あいあいさー!」
ホントに分かってんのか?こいつ?
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