第507話 勘は最大の閃き

晃太が思い付いた場所、それは。


「ボウリング場?さっき来たとこだね。何でここにしたの?」


「え、明確な理由があるわけじゃないけど、何となくでもなくて………」


「何?」


「姉さん負けず嫌いだから負けた場所にいるんじゃないかな?ってそう思った訳。」


「じゃあカラオケも負けた場所じゃん?」


「カラオケはもう母さんが根回しして、この人が来たら教えてくださいってしてたじゃん?それを姉さんは分かってると思うんだよね。だからカラオケじゃなく始めに負けた、始めに僅か1ピンで負けたボウリング場にいるんじゃないかな?って思っただけ、けど」


さっきも来たから分かってはいたことだが、ここは本当に見晴らしがいい。隠れようにも隠れる場所がないよな………


「隠れる場所ないよな?やっぱハズレだったんだよ。さぁ、違うとこ行こ。あと何分だ?30分くらいしかないからヤバいし………香織?香織どうした?」


「あの人………」


「どの人?」


「あの清掃の服来てる人………」


「人が………どうした?」


「何か匂うんだよね………」


「探偵か。お前は。あと匂うって………」


「ちょっと近づいてみよ?」


「え?近づいて?まぁ、いいけど。」


とことこと歩き清掃のおばさん?お姉さんのところまでやってきて声をかけようとした次の瞬間………


「ぶわぁっ!」


清掃の人が服をこちらに脱ぎ捨て猛ダッシュで走り出す。


「え?何?何?」


「追いかけるよ!」


「え?何?なんなん?」


訳が分からないまま追いかけていく。がその姿は下へと消えていく。


「何?何?何?」


「晃太くん!大天才じゃん!」


「は?」


「流石姉弟!通じ合うモノがあるんだね!」


「何?何なの?」


「皆に一斉ライム電話しよう。あ、皆?今、心音さんを見つけた。心音さんは3階に降りていった。逃走者は3階より下にいる。だから上の階の人は下がってきて。じゃあ。」


「は?あれが姉さん?」


「そうだよ。清掃の人の格好で化けてたんだね。」


「マジでボウリング場にいるとは………」


「勘冴えてるよ!次も頼むよ!晃太くん!」


「その前に姉さん、足速いだろ?」


「速いね?」


「逃げ足はめちゃくちゃ速いから見つけても捕まえられないんだよ。だから姉さんはあえて逃げ道のない場所じゃなく逃げやすい場所に逃げると思うんだよね………」


「おぉ!冴えてる!冴えてる!」


「だから次は………てか当たると思って行くなよ?勘なんだからな?」


「分かってるよ!勘ね?勘勘勘でどこまでいけるかな?試してみようよ!じゃあ次は?」


後25分。勘でどうにかなるのか?

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