第506話 鉄のハートを持ち話を曲解する最強女

「分かってはいたけど………人多いなぁ。」


「夕方になれば学生も来るからね?」


「おい。学生。」


「何?周りの学生さんに何か用があるの?」


「いや、お前だよ。学生、学生さんよ。」


「え?何のこと?」


「今日平日じゃねーの?学校あっただろ?それを休んで何この馬鹿馬鹿しいこと。」


「生徒会長に副生徒会長も休んでるから実質休みだよ。」


「生徒会が休みだからってそんなルールはねーよ!まだ夏休みじゃねーんだぞ?」


「もう夏休みだからいいとも言える」


「屁理屈言うな。後1週間くらいだろ?」


「今日抜いたらあと5日。もうすぐじゃん!」


「林間学校終わって即その足で学校にも連絡せず休んでマジで心配されてたらどうすんだよ?」


「心配されても大丈夫!アリスが何とかしてくれる!」


「アリス先輩任せ一旦やめようぜ。」


アリス先輩にかかる重りがデカくなるから。


「とにかく。今は鬼ごっこ。とにもかくにも鬼ごっこ。鬼ごっこが大事なんだよ!」


「そんな優先順位聞いたことないわ。」


「とりあえず隅から隅までさがそー!えいえい」


「もう掛け声いらないから!」



「いないね~。いない。いないね~。いない。いないね~。いない。何処にいるのかな?」


「……………」


クレーンゲームをやってる人を下から覗きこんで、あ、違いましたー!とか言ってみたりプリクラの筐体を1台1台隅まで見てみたり、どんなに渋い顔されようとするんだから香織は無敵だよな。無敵のハートだわ。ちょっと分けてほしいわ。そのハート。いや、ちょっとでいいけど。かなり貰ったらこっちまでおかしくなりそうだから。


「ゲームセンターにはいないっと。ライムしなきゃ。ね?ゲームセンターには居なかったよね?」


「あれだけ探して居なかったんだから居ないだろ。」


「多分?」


「多分じゃなく絶対。お前の鉄のハートであんだけ恥晒して探したんだ。居ないよ。ここには。」


「えへへ………褒めないでよ。そんな。」


「1ミリも褒めてないけど?」


考えまで曲解しとる。強すぎる。


「でも大本命のゲームセンターに居なかったんでしょ?じゃあ何処に?あ、まさか女トイレに!」


「そんなズルくないだろ。いや………ズルくないのか。大半女子だし。男子俺だけだし。」


「じゃあ6から1までのトイレを探しに」


「いくな。いくな。居ないよ。そこには」


「え~、分かんないじゃん!当たるべきところは当たらないと!」


「いや………鍵閉めて籠城的なことでしょ?流石にしないんじゃない?姉さんでも。」


「じゃあ何処にいると思う?」


「え?」


「弟の勘ってやつ!」


「勘か…………勘でいいんだな?じゃあ…」

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