第504話 本気の鬼ごっこ始めようや
「監視カメラに映ってなかった?どういうこと?」
「だから、灯台もと暗しってこと。」
「その灯台もと暗しがよく分かんないんだよ。」
「灯台もと暗し………探していたモノが…案外………近くに………あること………」
「いや、言葉の意味は分かるんだよ。だからその灯台もと暗しが今この状況にどうフィットするか、それを聞いてるんだよ?」
「心音は私たちを騙すためにトリックを使ったんだよ。」
「トリック?」
「私がいつ気づくか分からない状況の中、もしもすぐに気づいたらこうやって監視カメラも確認せずにこの場所から出ていくでしょ?逆も同じ。すぐに気づかず後々気づいたら監視カメラなんか必要ない、もうそんなことしなくても遠い場所に逃げたと考えてしまう。そこの心理を心音はついた訳。」
「つまり………どういう結論に至る訳?」
「心音はまだこの施設の中にいる。」
「マジか。」
「スゴっ!」
「意外と頭回るんだね。」
「名推理ですね!」
「何の名にかける?」
「おばぁちゃん………の名に……かけて…」
語呂悪いだろ。やるならばっちゃんの名にかけてとかじゃねーの?知らんけど。
「とりあえず皆で手分けして心音を………」
そんな中………晃太のライムの電話が鳴る…
相手は…………
「姉さん…………」
「スピーカーにして。」
「え、出んの?」
「当たり前。」
「マジかよ………」
出たくないけど出ろが何人もいるから出ますよ、出ます。
「はい。もしも」
「話は聞かせてもらったよ。」
「は?」
「私がこの施設にまだいることがよく分かったね?それだけでも褒めたいよ。」
「心音、アンタね。勝負は勝負よ。負けは負け。認めて出てきなさい!」
「母さん、話したいのも分かるけど何でこっちの会話が姉さんに筒抜けな訳?」
「GPSだよ。2時間だけのGPSをこうちゃんの背中につけたの。」
「背中?あ、あった!」
「いつの間にこんなモノ………」
「もしものためにつけといて正解だったよ。」
「心音。アンタ早く出てきなさい。早く結婚するんだから。」
「嫌だね。嫌だから逃げてんじゃん。」
「往生際が悪いわよ。」
「しぶといと言って欲しいな。」
「電話越しで喧嘩しても意味ないだろ?」
「ねぇ、母さん。延長戦といこうよ?」
「延長戦?」
「今から60分間私は捕まらないように逃げ続ける。それを逃げきれば結婚は無しにしよ。」
「何言って……」
「ただし捕まったら結婚は大人しく諦めるよ。」
「……………本気ね?」
「本気、本気。本気の鬼ごっこ始めようや。皆で。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます