第503話 現代版灯台もと暗し
「この顔した人がこっから出ていく姿見ませんでしたか?」
カラオケの人、全員呼んで………申し訳ない、姉の写真を見せる。が、誰1人として見たモノは居ず………
「周りの人に確認しても知らないって」
「早速…………手詰まり………」
この施設にいる確率はほぼゼロだろう。そう晃太は思う。だって1時間半も前に姉はトイレと偽りカラオケから逃げ出した。1時間半あればタクシー捕まえればめちゃくちゃ遠くまで逃げられる。この延長戦姉に有利過ぎるのだ。
「母さん、諦めたら?今日は結婚しないって言ったら姉貴も帰ってくるだろうし。」
「嫌だね。」
「母さん…………」
「せっかく長い時間かけて勝負して勝ったのにそれが無になるなんて嫌!絶対に嫌!」
「まぁ、付き合わされたこっちも嫌だけどよぉ。けど手がかりも何もないしまず外に出ちまってる以上探しようがな」
「待って。」
「何?」
何かに気がついたような母。
そして、
「防犯カメラって入口にあるよね?」
「え?あるんじゃねーの?っておい!母さん!」
急いで走って何処かへ向かう母。
それを追いかけるオレら。
「一体何なんだよ………」
「閃きじゃない?」
「閃き?」
「お母さまの閃き!」
「ぴかーん…………」
閃きって言われても何を閃いて………って
「お客様。落ち着いてください。」
「私は落ち着いてます。落ち着いた上で監視カメラを見せて貰えませんか?」
何をしてるんだ。うちの母は!
「すいません!うちの親が慌てちゃって…」
「お姉さんが居なくなったんです。」
「だからお母さま焦ってしまって」
「かんにん………して………?」
「は、はぁ?居なくなったご家族の方を探していらっしゃるんですか?」
「そうです!その通りです!」
「…………監視カメラを見せることは出来ません、が確認だけなら他の者にさせますので顔が分かるような………」
「今日のあの娘の姿です。」
「分かりました。では少し時間かかりますが少しお待ちください。」
そう言って係の女の人は走っていく。
「何で今日の姉貴の写真がある訳?」
「こんなこともあろうかと。」
「どんなことを想像してたんだよ。一体。」
約10分後。
さっきの女の人がやって来た。
「今係の者に確認させました。」
「でどうでしたか?」
「その写真に写っている女の方、その方が外に出る姿は……
映っていませんでした。」
「え?」
「ありがとうございます。助かりました。」
グッっとガッツポーズをした母。
「どういうこと?」
「つまり灯台もと暗しってヤツだよ。」
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