第502話 逃走中。捕まれば結婚。逃げ切れば………何だ?

「なぁ、香織。」


「ふぁい。なんでしょうふぁ?」


「何食ってるの?」


「頼んだチョコレートパフェ!」


「いつの間に頼んだ?」


「食べる?」


「じゃあ、1口貰うわ。」


「何食べたい?」


「チョコアイス」


「丸々1個?」


「歯が痛くなるから止めて。1口で入る大きさを希望してるんだけど?」


「じゃあ生クリームつきであげる」


「そりゃどうも。」


「はい。あーん。」


口を開け香織のスプーンに乗ったアイス&生クリームを食べる。


「美味しい?」


「旨い。」


「もう1口いく?」


「もう1口欲しいけどその前に2個ほど気になることがあるんだけど。」


「何?」


「1つ目、今17時25分。まだ歌うのかって問題。」


「もう歌い初めてだいぶ経つね?」


「それなのに皆声枯れるどころかボリューム上がってきてるし。」


声枯れたら終わりならまだまだ数時間はいけるぞ?


「アリスも楽しそうだよ?」


「楽しそうでも疲れるだろ?この後まだまだ予定あんのに。」


「そろそろ皆に言おうか?」


「あ、それと言うならば2個目、このことも言わないとダメだぞ?」


「何?」


「何かかなり早い段階から気になってたし気にはしてたんだけど」


「何?何?私よく分かんない?」


「姉貴…………帰ってきてないよな。」


「あ。」


「もうトイレに行って1時間半は経つのに、帰ってきてないよな。」


「そう言えば。」


「言わなかったんだけどうちの姉あんまり外の公共の場のトイレ嫌ってるんだよ。だから行くとしてもすぐ帰ってくるはずなんだけど。」


「1時間半帰ってきてない。」


「これはつまり、」


香織はマイクを手に皆に話し出す。


「皆さん!緊急事態です!お姉さまが!心音さんが!逃走しました!」


「え?逃走?」

「え、お姉さまが?」

「迷子とかではないのでしょうか?」

「1時間半迷子なら方向音痴極まりないでしょ。」

「愛人様!何故もっと早く気づかないのですか!」

「ずっと歌ってる奴らにだけは言われたくない。」

「え、つまり逃走したってこと?」

「ここに帰ってこない以上逃走以外ないだろ。」

「逃走の原因はもちろん」

「結婚……………だね……………」


マイクをドンっと置いた母は皆に向かって言う。


「これは緊急ミッション。皆、手を貸して。あの往生際の悪いうちの娘を捕まえにいくよ!」


「はい!」

「は~い」

「はいっ!」

「へい!」

「ほーい…………」

「分かった!」

「……………」


3本勝負終わったらこれだよ。ゆったりゆっくりする時間ってのはないのかな?全く。

と思いながらようやくカラオケルームから出れると晃太はその喜びのほうがデカかった。

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