第493話 ギャルって意外と心の中を出せるんだし。わーた?

「え、これ誰のトモダチ?」

「あーしじゃない。」

「あーしも違う。」

「あーしでもないよ~?」

「失礼っすけどぉ部屋間違ってますよ?」


707号室はギャルの集団の部屋だった。

どこかラッキーだ。アンラッキーだろ。


「あ~、あーし香織って言うんだけど~。とりまよろ~。」

「あ、香織ね?よろ~。」

「かおりんでいい感じ?」

「あ、いい感じ、いい感じ」


香織も何かギャルになって対応してるんだけど?何?何してんの?コイツ?


「早速なんだけどぉ、これ私のコレ。」

「お~。コレね?」

「コレコレ!」


小指だけで会話するな。会話が成り立つな。


「でうちのコレがね。歌が上手いんだわ。マジで。めちゃんこ。だからとりまみんなに採点してもらいたくて来た訳。わかた?」


「りょ」

「なる~」

「わかりみ~」

「なるほどお」

「りょりょ」


全員飲み込み早いし対応も早いんだけど。ギャルのフットワーク軽すぎだろ。


「あ、歌は皆が1曲決めてちょ。そしたらコレが………」



「ちょっと香織。」


「何?コレ。」


「コレ呼びすんな。てか何勝手に人のカラオケルーム入ってんだよ。迷惑だろ?」


「いや~ギャルはフットワーク軽くて助かるね。」


「そんなこと一言も言ってないよな?何で入ったかを言ってんだよ。」


「だってラッキーナンバーは7だから。」


「戯れ言はやめろ。」


「だってあのまま私が説得しても歌の大会出ないでしょ?だから。」


「だからって………」


「荒治療。」


「荒いと思うならやるな。」



「かおりん。」


「あ、なに~?」


「なんでもいい系?」


「何でもいいよ~。」


「え~、あーしストーン好き。」


「え、あーし雪だるま。」


「え、あーしアイドル的な?」


「あーしはボカロだね。」


「あーしは意外とラップみたいな?あ、アニソンも良いね!」


バラバラだな。長引きそうだ………


「決めた!」


「お、早いね?何の歌?」


「はくじつで」


「おぉ~。」


「いきなりあーしらの空間きて歌えるくらいのレベルならこんなムズい曲でもめちゃめちゃ上手く歌えるっしょ?」


「当たり前よ?な、コレ?」


「ちょ、何て?何の曲?………あ~あれか。けどそんな歌った記憶ないし歌えるかどうか………」


「採点機能いれちゃって!」


「あ~い。」


「で、歌もいれちゃって!」


「あいよ~。」


「ちょっと香織!」


「大丈夫だって。普通に歌えば大丈夫大丈夫。」


「状況が普通じゃねーだろ!」


「カラオケ大会出るなら普通の状況では鍛えられないからね。」


「出ないし!てか状況が特殊なんだよ!」


「ほら、マイク持って。真ん中いって。」


言われるがまま真ん中に………ギャルたちの目とパチパチ拍手に吐きそうになる。

けど、歌え、という香織からの目でのメッセージ。


はいはい。はいはい。はいはい。歌いますよ。歌いますよ。歌えばいいんでしょ?もういいこうなりゃヤケクソだ。


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