第487話 歌いたい日に歌いたい。歌いたくない日には歌わない。だけど大体の日は何かしら歌ってる。

メロンジュースやらコーラやら何か混ぜて飲みたいだとかバカな話ばっかりしていたらかなりの時間が経った。


「ソフトクリームにアイスが溶けちゃう!」


「そんなもんどうでも良いわ!2人きりのまま何分ほったらかしにしてんだよ!もし何かあったら………」


両手が鬱陶しいことにふさがっているため急げないが何とか急げない中でも急ぐ。そしてたどり着きドアを開けた時、晃太なビビった。


ピッタリ両極端1番離れた位置で目線をずらさずにらみ会う2人の姿がそこにはあった。

まさにライオンとチーター。どちらが食うか、食われるか、みたいな話。


「あ、お待たせしました~!お母様、お姉さま!これ、アイスとジュースです!どうぞ~!」


よくこの状況でその軽いテンションでいけるよな、と雫に全然いらない才能だけどスゲーと思った。


「さぁ、アイスもソフトクリームもジュースもセッティング出来ましたし始めますか?」


はじまんのか………これで姉さんが勝てば結婚は当分なし。これで母さんが勝てば結婚、即結婚。どちらにしても大きな決断。それをこんなんで決めていいのか、今更ながら思う。だがもう来てしまった訪れてしまったモノは仕方がない。こちらも腹をくくってやるしかない。どちらが勝ってももういい未来を備えておこう。


「と、思ったんですが。いきなり本番始めたら2人にプレッシャー凄いと思うんで皆で最低1曲は歌いましょう!」


「さんせい…………」


「え、歌うの?俺らが?」


「はい。所謂前座ってヤツですね!」


誰が前座だ。何が前座だ。


「じゃあ誰から歌います?歌いたい!1発目かましたるぞ~!って方~!」


「はいは~い!」


「あ、香織センパイ。香織センパイっすか?」


「いや、私じゃなくて晃太くんに。」


「は?俺?」


「皆知らないだろうけどめちゃくちゃ歌上手いんだよ!」


「へー!」

「そうなのですか!」

「意外……」

「優くんから聞いたことないなぁ」

「愛人様の歌聞きたいです!」


「香織、お前なぁ………」


「私知ってるんだよ?晃太くんが歌上手いのに他のグループ、男グループに誘われても歌いに行かないの。」


「それはそういう気分じゃないだけで……」


「そういう気分じゃないが、16回も続くかな?」


「お前………数えて………」


「異常だよね?こんなに誘われても1度も歌いに行かない晃太くんが。私の前では気持ち良さそうに歌うじゃん?」


「……………」


「雫。採点機能入れて。」


「はぁ~い。」


「ちょ………」


「1発ぶちかましてみてよ?私の前だけじゃなくてもぶちあげられるでしょ?」

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