第473話 第2戦目はYouTuberもよくやるクソベタ企画

「まずは1勝ね。ね?心音?」


「……………クソっ」


ボーリング場に併設されたドリングバーで憂さ晴らしのように大量に飲む心音。

5杯目では?


「まぁ、余裕って感じ?」


「いや、嘘つけや。」


すかさず晃太はツッコミを入れる。


「何処が余裕やねん。ギリギリのギリの勝利だろ?もうほぼ五分五分だし。」


「けど1ピン多いから。」


「1ピンだけで圧勝した感を出すなよ。」


「1ピン、されど1ピンだからね?」


「分かってるけどな。分かってるけど。」


「もういいよ。こーちゃん。」


「姉さん………」


5杯目のメロンソーダを飲み干し話す。


「敗けは敗けだから。今更悔やんでも仕方がない。次に賭けるだけよ。」


「お、おぉ………」


心音の目は死んでいない。それどころかより燃えている。逆境を力に変えて背水の陣とはこのことだと晃太は思った。


「次は?次の勝負は?」


「ゲームセンターだったよね?どういうルールにするか………」


「あ、いいのがありますよ~!」


「雫ちゃん。どんなの?」


「よく私YouTube見るんですよ!その中でYouTuberがやってる企画………それが1万円企画です!」


「1万円」

「企画?」


「ウービーイーツ1万円食べてみた!とかアイス専門店のアイス1万円食べてみた!とかファミレスで1万円食べてみた!とか色々ありますよ~!」


「ちょっと………古め………」


「まぁ、今のYouTuberはそこに原点回帰してやってる人もいるけど。まぁ、少し昔のYouTuberがやってる感じかな?けど1万円企画はアリですよ!」


「けど、雫ちゃん、今聞いた限りでは1万円は全て食べ物系で使ってるけど………」


「チッ、チッ、チッ。今はより進化してるんです!題していきますよ!第2回戦の勝負は1万円でどれだけ多く取れるか!ゲームセンター景品対決!です!」


「1万円」

「ゲーム景品?」


「ちゃんと説明しますね!」


「ちょい待ち。」


「何?」


「いや、何?じゃなくて何でお前が仕切ってんの?」


「いいじゃん。後輩にも仕切らせてよ~。」


「別に仕切るな、とは言わないけども。何でお前が仕切るのかと」


「雫………仕切ること………ないから……」


「こんな場所で張り切る必要ないだろ。」


「ではでは!ルール説明しますね!心音さん、お母様にはさっきの残りの1万円を渡します。そしてそれを崩して全部百円にしてきてください。それでゲームスタートです。対決内容は簡単。より多くの景品を落とした人の勝ち!ですが禁止事項があります!店の人、ゲームセンターの人に取り方聞くのはナシです。あと景品はしっかりとしたモノでないとダメです!例えばこのぐるぐる回るすくうゲームの石ころ、綺麗ですけど、これは景品にはカウントしません!しっかりと小さくても景品となるモノをより多くとったほうの勝ちです!」


う~ん。ルールしっかりしてて何かムカつく。


「ではいきますよ!百円つぶしたらレディゴーです!」

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