第472話 1ピンの重みは計り知れないほど重い
「なぁ、香織………」
「何?」
「うちの家族がボーリング上手いかどうかって知ってたか?」
「いやぁ?晃太くんと一緒に来た時はガーターばっかりかストライクかの当たればデカイバカみたいな投球だったけど。」
「バカで悪かったな。」
ボーリングの加減って分からないやん?だから上手くいく時といかない時の差が激しい訳よ。
「てかオレじゃなくて母さんとか姉さんとかの話だけど?」
「知らないね~。てか晃太くんが知らないことを私が知ってる訳ないじゃん?」
「知ってることありそうだろ。お前なら。お前だからこそ。」
「知らないよ~。あ、お父さんがアマチュアの大会で優勝したり1年間スランプに堕ちたけどスランプから復帰してまた優勝したことは聞いたことがあるようなないような……」
「それうちじゃない。うちじゃなくて違う家の双子の漫才師の実話のネタの話だから。」
あのネタ2年連続で敗者復活戦で見た気がするんだけど………もっと面白いネタあるよ!たくさん!
「てか何で今そんなこと聞くの?」
「いや………アレみたら聞くだろ………」
目線の先には滅茶苦茶ピリついてる戦場が、そしてスコアには。ストライクストライクストライクストライクストライクストライクストライクストライクストライクストライク…
全部ストライクの表示が。いや………嘘でしょ?
あと1投球残しストライクが連続で………しかも両者とも………夢でも見てるのかな……
ヤバい試合が起きている。
そしてそれはそりゃあ注目の的となるが、ピリつき度がヤバすぎるので近づく者は居らず一定の距離感を保っている。いわゆるATフィールドってヤツ?入ったら死ぬ、みたいな感じで皆一定の距離感を保つ。けど気にはあるんだろう。だから目線は見ている。
だが2人はそんなモノ関係ない。見ているのは、
カランカラン。
ピンのみ。
最終も両者ストライク。だが最終だけルールが変わりストライクならもう一回投げれる。
2人とも流石に疲れが見える。ここまで全倒し。それだけでもイカれてることなのに、最終最後の一発がまだ残っているのだから。
だが2人は立ち上がり投げるフォームに入る。彼女らには賭けているモノが乗っているモノが常人とは違うくらい重いから。
さぁ、2人が同じタイミングで投げた。
そして………
試合が終了した。
試合が終わり、勝敗が、
ついた。
最後の残りピン 心音 8本
母さん 9本
よって勝者、母さん。
わずか1本差で勝ちをとった。
わずか1本。されど1本。3本勝負第1試合、
勝負 母。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます