第440話 この素晴らしい林間学校に祝福を!

「あ~寝ちゃってた!もう朝になってるじゃん!ごめんね!皆!」


「いやいや。アリス先輩が謝ることじゃないっすよ。」


「でも………だって、晃太くんも心音さんも疲れてる顔してるじゃん。ごめんね?私が寝てるから帰れなくてめんどくさい思いしたよね?ごめんね?」


「いや、まず運転する黒井が酒を飲んだ時点で昨日帰るのは不可能だったので。そんなに自分を責めなくていいですよ。全ての責任は黒井にあるんで。」


「ホント………和虎にしかないから……」


「心音さんまで……というか言い方が……和虎って呼ぶことにしたんですね!」


「いや…………しないといけない状況になったと言いますか…………」


「うん?」


「あ、アリス先輩。黒井から大事なお話があります………」


後ろから黒井を前に引っ張り出す。


「どうしたの?黒井?それにその格好……いつも以上にピシッとしちゃって?何?今から重大発表でも」


「結婚します」


「え?」


「結婚します。俺は横にいる社 心音と。結婚します。そしてその結婚の挨拶にいまから向かおうと思うのですが、アリス様。御同行していただいても構いませんか?」


黒井の言葉を聞いて表情をまだ変えないアリス先輩。が、次の瞬間………

ダッ!っと

素早く何処かへと走り出して行った。


「黒井、アリスに対して一気に言い過ぎたんじゃない?だからダッシュで逃げたんじゃない?」


「香織…………その場合どうなるん?」


「アリスが怒ってるなら結婚は最悪無しにもなるね。」


「そんなぁ………」


「仕方ないでしょ?大体アンタはタイミングってモノが悪」


香織の説教が始まるかと思った瞬間。

ピンポンパンポーン。

っとコテージにアナウンスが流れる。


「ん?アナウンス?」


「こんな変な時間にアナウンスつけた覚えは無いで?」


今の時刻は8時32分。確かに何の時間でもない。一体何の………


「アリスです。アリスです。アリスです!」


「アリス先輩?」

「アリス様?」


アナウンスの正体はアリス先輩。一体何事………


「皆さん!早く起きてください!そして祝ってください!この林間学校中にカップルが誕生しそしてそのカップルが結婚するのです!そしてその2人は今日親御さんへと報告に行くのです!皆さん向かう2人に盛大な拍手と大きな祝福を!この素晴らしい林間学校に祝福を!みなさん!黒井 和虎と社 心音さんに盛大な拍手を!そして皆さん早く出発の準備を!」


ピンポンパンポーン………


「アリス様、怒ってなかった………良かった………」


「ていうか…………コテージ全員に聞かれたんだけど。私とアンタの行く道を………」


「どうせバレるから大丈夫。大丈夫。」


おぉ、段々姉が不憫に見えてきた………

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