第438話 呼び方って大事。そしてその呼び名を呼ぶか呼ばないかは世間体も大事。

「さて、どうするか、やな。」


「何が?」


「心音起こすか。そろそろ。」


「起こすのか?」


「おとうとも言うたやろ?姉に言わな意味ないって。だから本心を伝えるために起こす。」


「いや…………心がけはめちゃくちゃいいんだけど………」


「やけど?」


「うちの姉酒癖も悪ければ酒での寝起きも悪くて………中々起きないんだよね………寝ると。で起きた瞬間にすぐに記憶がフラッシュバックして記憶をメモリに入れるんだよ。」


「つまり今はすやすや寝させるのが一番やってこと?」


「そうなるな。」


「ふぅん………分かった。じゃあ俺は待つわ。」


「あぁ、待っててくれ。俺はちょっと横にな」


「待てよ。おとうと。」


「だからおとうと呼びはやめろや。」


「結婚するねんからおとうとになるやろ?もうちょい話そうや。」


「結婚するのが許されるの前提で話すんなよ?無理な場合も……」


「あるかもやけど一応仮として。仮としておとうとやん?」


「何でそんな呼び方にこだわる………」


「「「呼び方は大事!」」」


アレ?おかしいな。黒井とだけ話してただけなのに何か声が混ざったぞ?


「何で香織と彗も混ざるんだよ?」


「共感したから!」

「右に悔しく同じく。」


「共感?」


「呼び方って大切だと思うんだよ。私たちは晃太くん、香織って呼びあってるけど本心を言えばにゃあくん、にゃあちゃんって呼び合いたいんだよ。」


「絶対止めてくれ。」


何処にも引っ掛からないにゃあーは流石に馬鹿が過ぎる。


「私も今は愛人様、彗と呼びあっていますが本音を言えばご主人様 犬と呼ばれたいんです。」


「絶対に言わないから。」


ドMなの?それともそういうプレイなの?そんなSMプレイに俺は乗らないし乗りたくないぞ?


「今2人が言ったように呼び方って気になるもんやねん!」


「コイツらのはただのあふれでるただの願望だろ。泥々の願望だろ。」


「俺かて願望やで?おとうとって呼びたいって言う願望があんねん。」


「何でそんなにこだわる?」


「俺が一人っ子で充分な愛をもらってないからかな。」


「いきなりやめて。重い話は。」


「だからいいやん。おとうとって呼ぶくらいは?」


「……………勝手にしたら?」


「おとうと!」


「これで結婚失敗したら笑い者やけどな。アハハ………」


「結婚って何?」


「え?」


その声は黒井でも彗でも香織でもない声。


「頭痛っ…………何でこんなところに?で何でこーちゃんとかがいる………の…………」


目線が黒井に合わさった瞬間。

カチッと鍵が開いた音が聞こえるようだった。



「きゃあ~!!!!!」


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