第430話 目が覚めるとそこは静寂だった。

目が覚めると周りは静かだった。

怖いくらい静かだった。

時刻を見たい。あ~、けど頭が痛い……

最悪だ。最悪のコンディションだ。

ていうか皆は?アリス先輩と忍先輩………は寝てる。

雫と乃愛は………いない。

姉さんと黒井は………またいない。

百舌鳥先輩と進藤は………え、何で2人とも上半身裸なの?何か布団………かけるモノを…………あった。テーブルクロスだけど一時の避難にはなるだろ。

で、問題の香織と彗だよ。


「あいつらこそ何処行った?」


あいつら2人揃っていないんだが………

何だ?何だ?


「あ~、考えるの、邪魔くさい。頭痛い。マジで………考えなくても分かる方法とかないか?ないよな、うんな楽なモノ………」


と思った晃太の手元にあったのは。


「ビデオカメラ…………」


時刻は今を指している。そしてまだ録画の赤いボタンが光っていた。


「これ、アリス先輩がウービー頼んだ後くらいにつけてたビデオだよな………つまり今この記憶のない時間を解決できる一筋のヒントになるんじゃ………ていうかもう答えがここにあるんじゃ………」


見たい。見たい。見たいけど………


「これを見たら俺の恥部が映っている可能性が高いよな………絶対高いよな………」


記憶が無くなってもう2、3時間は経つ。

何があってもおかしくない。何が起きてもおかしくない。それはこの合宿で一番学んだことだ。人生に必ずないなんてことはない、例え0.000000000000000000000000000001%でも可能性があればそれは起こり得る。そのことを身をもってそして周りを見て学んで気づいた。だから、このビデオはいわば晃太にとっては呪物だ。いわば特級呪物だ。リョウメンスクナとか出てくるかもしんない。それくらい危険なモノだ。


「見るか…………」


だが見るしか道はない。このままフワフワした気持ちで帰るより現実を叩きつけられた方がまだマシだ。だから………

ビデオの録画を止め、巻き戻しをする。

超高速巻き戻し。で晃太がウイスキーボンボンを大量に口に入れられたところからスタートすればいい。

ビデオでもくっきり残ってる。これ犯罪で訴えれるよ。マジで。強制チョコ喰わし罪。もちろんそんなモノはないけど、これがいじめです、って言ったらいじめには認定されるでしょ。だから………まぁいいや。相手はどっちもネジの飛んだバカだ、だからそんなのどうでもいいんだろうな。


「よし、ここから再生だ………よし、行くぞ。よし、行くぞ。よし!はい!」


勢いで録画した映像を流してみる。

そこには。

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