第428話 人間は醜い生き物であるとチョコで痛感する。

「でもこれでいい訳じゃん。」


「何が?」


「てかこうなったら一番最高のパターンじゃん!全部アタリな訳だから1個1個口に入れていって何処までがボーダーラインかよく理解出来るじゃん!」


「俺は実験用モルモットか?」


「モルモットみたいに可愛くなる瞬間があるかもよ?あ、語弊なく言っておくけど今の晃太くんが可愛くないって訳じゃないからね?今の晃太くんも可愛さの中にカッコ良さが入っているとても人間とは思えない魅力が…」


「もういい。もういい。」


「何?照れた?」


「照れてないけどいつまでも喋りそうだから制止した。あと人間とは思えない魅力って褒めてんのか褒めてないのか分かんないよ。」


「まぁまぁ、とりあえず一旦ちゃんと座ってチョコ食べよう!」


「…………あのさ、絶対食わないとダメ?」


「ダメだよ。実験にならないんだよ?」

「私たちの食べたチョコも無駄になりますよ?」


「無駄にはならないじゃん?美味しく頂いたじゃん。だから別に………」


「隙アリ!」


「あ、あ!」


口の中にチョコの味が。


「お前………」


「ごちゃごちゃ言わないで食べようよ!あ、口に入れたら出したらメッ!だよ。汚いしもったいないし。」


「お前なぁ………」


「記念すべき1個!はい!噛んで!」


「…………分かったよ……もう。」


食材に罪はないし無駄には出来ないし………食べるか………仕方なし。パクッと噛った晃太は………


「ちょっと待って!ちょっと待って!ちょっと待って!」


衝撃にビビった。


「何?どしたの?」

「どうしたのですか?」


「ちょっと待って………これ………ウイスキーの量多くない?ニガッ。」


「え、そうなの?」

「そうなんですか?」


「気になるから食べてみろよ?」


「いや、晃太くんの実験に使うから」

「実験に使うので私たちは食べませんよ?」


「徹底すんな。そんなアホなとこを。」


ウイスキー………多いって………


「これ大人様とかじゃないの?」


「え、そうなの?」


「そうなの?じゃないし。ちょっとウービーのヤツ見せろ。」


「あ、あっ。」


「何?何か隠して………お前………」


ウービーの注文の名前には

チョコ60個入り 大人のウイスキー増量ボンボン

と書いていた。


「……………」


「黙るな。お前、これ知って頼んだな?」


「……………」


「いや、頼んだに決まってるよな。ちゃんと注文に書いてあるんだから。」


「……………」


「何か弁解はあるか?香織?」


「………だって………」


「だって」


「だってそこに晃太くんを貶めるようなモノがあったら欲しくなるじゃん!それが人間じゃん!それが人間って生き物じゃん!」


「お前の思う人間は醜いな。」

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