第407話 自分の中にいる ソイツ
「昨日の、13時間前の晃太くんの様子知りたい?」
「知りたくない。早くこの空間から出たい。そして水が欲しい。」
「水ならあるよ。ほら。」
「じゃあくれ。」
「くれじゃなくてくれませんか?でしょ?」
「めんどくさいな………」
「昨日の晃太の真似。」
「は?」
「中に欲しいんだろ?ならくださいじゃないだろ?くれませんか、だろって言ってたよ。」
「……………」
渡された水を飲みながら ソイツ について聞く。
「キスマークもこんなにたくさん。見えないところだけじゃなくて見えるところにもほら。あ、私だけにキスマークつけた訳じゃないよ?私にも命令して俺の身体にキスマークを思いっきりつけろ。って命令してきてさぁ。」
確かに晃太の身体には無数のキスマークが…
「お前は俺の奴隷なんだからな?俺についてこいよ?俺の言ってることが正義なんだからな?って」
「もうやめよう。もう話やめよう。」
「え~。まだまだあるのに。自分のことは晃太様と呼べとか、違う男にヤラれたらすぐにぶん殴るとかお前は俺の飼い犬なんだから」
「もうやめて!もうやめてくれ………」
頭を抱えてうずくまる。
「誰だよ!ソイツ!」
「晃太くんだよ。」
「俺じゃないよ!」
「晃太くんだよ。この空間に私と晃太くんしかいないんだから晃太くん以外あり得ないじゃん?」
「ソイツ………俺じゃないって……」
「いやいや。晃太くんだよ?ちゃんと認めて?」
「いや、だっておかしいだろ?俺がこのヨワヨワな俺がそんなこと言うわけないじゃん?」
「でも言ってたし。あ。そういやよく言うじゃん?お酒は人の本質を写し出すって。お酒飲んでるほうの晃太くんがホントの晃太くんなんじゃない?」
「うんな訳ないだろ…………」
「晃太くんは結構独占欲強くて私のこと大好きでヤンキー気質だってことだね!」
「そんな今の俺と真逆な………」
「今がおかしいんじゃない?」
「は?」
「今がホントの自分じゃなくてさっきまでの晃太くんがホントの自分なんじゃない?」
「もうそこまでいったら俺病院行くからな。」
「私も行くから病院。」
「なんで?」
ポンポンっと腹を叩く。
「コレ。」
コレ、じゃないし。マジで。マジでヤッちまったんだな………
「二重人格だから晃太裏がヤッたからこの子供が出来ても俺のせいではないってことにならない?」
「結局表も裏も両方自分でしょ?」
「…………それ言われたらそれまでなんだけど……………」
「大丈夫!どっちの晃太くんも好きだから!私的には私多分Mだから裏晃太くんが出るとゾクってするけど。あ、後裏晃太くんは口から嘘っぽくなるくらい好きって言ってくれるから好きだな!」
「もう頼むから ソイツ 出させないでくれ。」
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