第404話 手段は選ばない。貴方の口より体が動けばそれでいい。

今回こそはつくろうね!

そう話す彼女の目はバキバキだった。

ヤバい………本気でヤバい。

本気で赤ちゃんをつくる気だ。ヤバい。ヤバい。ヤバい。ヤバい。。けどこんな時こそこんな時だからこそ冷静であれ。


「香織。今から言うことをよく聞けよ?」


「晃太くんの言葉は全て耳に保管されてるよ!」


「ホントにだろうな?通り抜けるなよ?ゴホンっ!では。」


今から晃太がするのはいわば説法だ。


「お前頭いいんだから知ってるだろ?人生100年時代に今はなってる、って」


「長生きだよね~」


「けど、ただ長生きするだけなら誰でも出来るけどしっかりと生きて長生きするのは難しい世の中だって知ってるよな?」


「うん!老後に2000万とかいるんだっけ?」


「そう。それに1人子供つくれば大学まで育てるのに最低2000万、最高1億とかかかるのも知ってるよな?」


「子供の自由に育ててあげたいね!」


「だから。今オレはバイトとかしてないし貯金もほとんどない。お前もバイトしてないから金ないだろ?そんな状態で子供を産むとかまず準備が足りない。」


「だからお金はお父さんたちが。」


「しても限界はあるだろ?だからせめてオレらが大学行くまでは我慢して………」


「無理っ!」


「香織………」


「だから………お前は………」


「17年待った。」


「17年は嘘だろうが。何で産まれてすぐにムラついてるんだよ?」


「だけど待った。私は待った。待って待って待って待って待って待ち続けた。」


「お前………」


「私は嘘で赤ちゃんつくろうなんて言わない。本気でつくろうと思って言ってる。だから覚悟を決めて。」


「覚悟を決めて、じゃなくて。理論的に…」


「理論的に理論的に理論的にって、晃太くん理数系苦手なクセに。」


「そ、それは関係ないだろ!」


「まぁ、元々私は晃太くんが赤ちゃんをつくろうとしないのも理解してた。理解してたしこの12時間も耐えようとするんだろうと思ってた。」


「わかってるならもう止め………」


「だけど私は赤ちゃんつくりたいの!」


香織は何かを晃太の頭にかける。


「っぱ!お前!何すんだ!何かけ………って」


「私は手段は選ばないよ?晃太くん。」


頭にかかったのは液体?水ではない。お茶でもない。ジュースでもない。これは………


「さ、さ、酒?」


「そう。お酒。しかもアルコールの高いウォッカ。」


「ウォッカ?」


「和虎に貸してもらった。」


「く、黒井…………」


アイツ………アイツだけは…………


「晃太くん。さぁ、赤ちゃん、つくろうね」

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