第394話 ほろよい1本で酔えるからだいぶお得な人種
「てかてかさぁ?」
「何その日本語?」
「晃太くんはさぁ鬼虎んとこの記憶が消えてるんでしょ?」
「そうだよ。消えてる。てか何で消えてんの?俺だけ?意味分かんないんだけど?」
「理由は簡単だよ!」
「じゃあ教えろよ。」
「晃太くんが弱いモノは?」
「質問形式いらないから。さっさと教えろよ。」
「チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチー!タイムオーバー!」
「1人で何をはしゃいでんだ?」
「正解は酒。でした!」
「酒?」
「お酒?」
「酒?飲んだんか?未成年飲酒やんか。」
「違う違う。晃太くんは飲んでないの。嗅いだの。」
「嗅いだ?」
「そう。酒の匂いを嗅いだの。そしたらあ~ら不思議!鬼虎に宣誓布告しちゃった訳よ」
「え」
晃太の中にない記憶が付け足される。
「うちの進藤がお前みたいなヤツに負けるか!って鬼虎の顔引っ掻いて」
「嘘…………だ…………」
「嘘じゃないもん。ほら愛梨からのライム見て?」
百舌鳥先輩からのライムには
ごめんね!うちの優くんが固まって動けない時に代わりに優くんの気持ちを代弁して鬼虎に言ってくれて!正直スッキリした!だから晃太くんには感謝を伝えといて!
と書いてあった。
「俺が………鬼虎先輩を………引っ掻いて……」
「カッコ良かったよ!流石私の彼氏旦那って感じ!」
「あ、愛人様。」
とそこに風呂上がりの彗が。
「あ、彗……俺さ………」
「流石ですわ!流石です!」
「近っ!近………」
「流石の私もあの鬼虎とかいうヤツは気持ち悪くてヘドが出ました。それを愛人様は一喝し更に進藤のためにお膳立てするなんて…アッパレとしか言えません。拍手です。拍手喝采、スタンディングオベーションです!」
どうやら晃太が鬼虎先輩に何かデカイ口を叩いたのはホントのようだ。そしてもう1つ女子全員の鬼虎先輩の呼び方が鬼虎、呼び捨てで固定されている。これはそうとう鬼虎先輩が変なモノを見せたかこの3人の気持ちをポキッと折る何かしらの引き金を引いたのだろう………
「俺今から鬼虎先輩に謝りに行く……」
「ダメだよ!」
「ダメですよ!」
「引き留めんな。行かせろ………」
「いやダメ。」
「うんダメです。」
「何で?何で?何でダメなん?俺しばいたんでしょ?鬼虎先輩を」
「しばいたというか」
「引っ掻いたというか」
「ともかく顔面にダメージ与えたんでしょ?鬼虎先輩の顔もハッキリしないけど……」
「不細工だよ。」
「醜い妖怪だよ。」
「絶対嘘だよ………イケメンだよ……イケメンだよ………うわぁ………俺イケメン引っ掻いたんだ………」
「晃太くんがイケメンだよ!」
「愛人様はイケメンです!」
「いや………やっぱり俺謝りに………」
「行くの?行ってもいいけどさ。」
「何?」
「酒の匂い絶対とれてないよ?コテージ。」
「だから私は気持ち悪いからお風呂いただいたんです。」
「…………」
「つまりもう一回行けばまた酒に酔った晃太くんが今度はパンチかな?キックかな?それをしちゃう。それも見たいけ」
「行かない。止めとく………」
酒、強くなりたい…………そう思う晃太だった。
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