第393話 どんなに真面目な話をしても最終的到着地点はいつも同じ。
「こうちゃん…………」
「………何?」
残された2人。久々に姉と弟。血の繋がった存在と一緒にいる。
「今聞いたこと全部忘れて………」
「忘れたいよ。忘れたいけどうちにあのバカがいるから忘れたくても忘れられないかも。」
ガックシっと肩を落とす姉。
「あ~。何で私はあんな人を好きになったんだろう………」
「黒井さんから聞いたけど意外とチョロい理由だったよね。初めは。」
「チョロいとか言わないでよ………私はこうちゃん一筋でこの20数年間生きてきたんだよ?そんな女がチョロいの分かるでしょ?」
「例が特例過ぎるんだよ。」
「てかこうちゃんだってそうじゃん。」
「俺?」
「香織ちゃんと付き合ってるのだってそうでしょ?」
「俺はなぁ…………一言では言い表せない。」
「何それ。」
「レポート用紙10枚くらいいるわ。」
「長。そんな理由で付き合ってるの?」
「まぁ………」
「それって、好きなの?」
「うわ………姉貴に一番言われるはずないこと言われた………」
「何?私をなんだと思ってるの?」
「元近親ブラコン姉」
「うぐっ………」
何も言えないとはこのこと。
「それは今は無しにして、ホントに香織ちゃんのこと好きなの?」
「……う~ん。分からない。てかもうその次元にいないんだよね。」
「とは?」
「いて当たり前、みたいな?」
「妻じゃん。」
「アイツが勝手に言ってるけどな。」
「え、結婚するの?」
「結婚?オレまだ17だよ?」
「これからの話だよ。これからの。」
「そう言ったら姉貴も結婚すんの?仕事辞めんの?どうすんの?」
「う…………分かんない………」
「でしょ?未来のことは分かんないんだよ。明日どうなるかも分かんないし今日どうなるかも分かんない。けど。」
「けど?」
「まぁ、前よりは楽しい人生歩んでるなって実感しちゃってる時点でオレの負けだよ。」
親友だった頃、香織と親友だった頃、その時も楽しかった。だが今はそれ以上に楽しい。というか毎日が刺激的過ぎる。だから生きてるって実感が出来る。やり過ぎだろとか嘘だろ、とかあり得ないだろとか色んな感情はわくモノのそれを超えて楽しい、という感情が勝ってしまってる時点で晃太は香織の掌で踊っているんだなと思う。別に掌で踊っていることに関して悔しくも何ともないがとりあえず楽しい。
「まぁ、こんなこと口が裂けても香織に言えないけどね。」
「こうちゃん…………」
「晃太くん!お姉さま耳だけじゃなくて他にも性感帯あるんだって!何処か分かる?」
「テッテレ~!正解はヘソでした!どう?マニアックやろ?」
どんなにいい風な話をしても雰囲気を完全に潰してくる彼女。
「やっぱお前スゲーわ。」
「何?何で笑ってんの?」
改めてうちの彼女はバカだ。
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