第390話 結んではいけない紐が結ばれて。

「マジで行くの?」


「行くよ!私が嘘ついたことある?晃太くんに?」


「………恐ろしいほどに無いな。」


「でしょ?」


「ちょっとは秘密を持てよ………」


「ミステリアスな方がいい?じゃあ1日5回晃太くんの写真で致してること秘密にしとくよ。」


「何処が秘密だ。全部話しただろうが。」


止めて。生々しい。1日5回もヤラれてるのか。それでいてあの性欲。バケモノだろ。


「よしっ。4階についたね?2人は何処かな~………ってアレ?アレってお姉さまじゃない?」


確かにそこには広間に置かれた椅子にただただぼーっと座っている姉の姿があった。


「話しかけてみよ?お」


「待て。」


「何?」


「何か様子変だろ?」


「変かな?」


「ぼーっとしてるし。あんま触らないほうが得策だって。」


「いやいや、触らないと意味ないでしょ!ここは猪突猛進ドリルのように突き進むべし、だよ!」


「猪なのかドリルなのか分からんけどとりあえず下がるぞ。何か嫌な予感がする。」


「嫌な予感嫌な予感って毎回毎回言ってるじゃん?」


「そして毎回当たってるんだよ。」


「大丈夫だって。私にベットして!」


「ベット出来ない。そんな泥船にかけられない。」


「泥船じゃないよ!豪華客船だよ!」


「じゃあタイタニックだ。沈没するから嫌だ。」


「屁理屈ばっかり。」


「お前も屁理屈ばっか………」


何の実にもならない討論をしていると………


「な~にしてんの?」


「うわっ!」


「何やねん。そんなバケモノ見たような顔して?」


そこにいたのは


「黒井…………いつから居たんですか?」


「いや、今ちょっとトイレ行ってたら何か騒がしい声が聞こえるな~思て来たら香織様と晃太がいたんよ?」


「ねぇねぇ。」


「うん?何ですか?香織様?」


「もうそろそろ様呼び止めてもいいんだよ?もう私たちはファミリーなんだし。私が晃太くんと結婚するし黒井はお姉さまと結婚するし。その未来が見えるんだから。もう様無しで香織でいいよ?」


無茶苦茶理論だな………


「あ~、確かに。」


確かに?


「じゃ、これから香織で。俺のことは和虎でよろ。」


「りょ~かい。」


今一番結んではいけない紐が結ばれたようなそんな気がした。


「で、いきなりなんだけど。和虎?」


「あいよ。香織。」


「どしたの?アレ?」


心音を指差し話す香織。


「何か放心状態だけど?何かしたの?いや、何かしたんでしょ?」


「うん。したよ。」


「うぉ。男らし。」


「元ヤンで少年院行ってますから。あとホストですから。」


ホストは関係ないだろ………と思ったがまぁ無視する。


「今近づいたら多分ひゃっ!って言って真っ赤になるよ?心音。」


「何したの?」


「まぁ、まぁ、お茶でもいれてくるから一緒に座って話そうか?」


「それが一番だね。行くよ?晃太くん。」


「俺に拒否権は無いのか?」


「拒否権なんてハナからないよ?」


「人権侵害だ………」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る