第382話 人間としての尊厳を著しく退化させる彼女の夢
「元気だして?晃太くん。」
「恥だわ。恥。」
地獄の料理時間は終了し、次は………
「てか昼飯もっかい作るなら俺料理しなくても良かったじゃん!」
「ハンバーグだけじゃ足りないからね。今お姉さまと黒井がやってるよ。」
「ハナからその2人でつくれば良かったじゃん。つくっていれば俺恥かかずにすんだのに………」
「あのさ、疑問なんだけどぉ。何でコーンフレーク入れたの?」
「あのさ、何で傷をほじくり返すの?」
「興味だよ。意外とバリバリしてて美味しいと私は思ったけど?ちょっと甘過ぎかな?とは思ったけども。」
「要するに失敗したんだよ!だから話さないでくれ。」
「いや、興味として。何で数ある食材からコーンフレークを選んだのかな?って」
「バカにしてるだろ。」
「いやいや、バカにしてないよ。ただ私にはない発想だったから何でかな?って」
「バカにしてんじゃねーか。」
「意外と流行るかもだよ?多分世界初だよ。ハンバーグにコーンフレーク混ぜた人。第一人者に聞きたいわけよ。何で?」
「…………かたまりそうだったから。」
「それだけ?」
「それだけだよ。」
「晃太くん。」
「何だよ?」
「私、薬剤師の資格取るから家事全てやるのはムリだし晃太くんがニートのヒモになっても別にいいけど、その場合でも料理は私がつくるからね?」
「めっちゃ失礼な話してんな。」
「社会からはみ出されて社会の荒波に揉まれて疲れきってニートで私のヒモになっても主夫になれとは言わないから安心して?」
「だから失礼なんだよ!誰がニートだ。誰がヒモだ。」
「え、晃太くん。」
「働くわ!」
「え!働くの?」
「何でビックリしてんの?」
「いや、だって働くのイヤでしょ?」
「イヤだろうな。好き好んで働くヤツは滅多にいないよな。」
「だからだよ!だから晃太くんはニートでヒモになる権利、なれる切符があるんだよ?何でその電車に乗らないの?乗れば最高なのに?」
「乗った瞬間クズ人間の始まりだろ。」
「クズでもいいじゃん!2人で愛し合お?晃太くんはただ私に精子を与えてくれたらそれだけでいいから。それだけすれば赤ちゃんも出来るし幸せな家庭が出来上がるから!」
「………………」
男女の差別はまだあるもののどちらの人種も対等に働ける、と表面上は言える世の中。
男子が働き女子が家庭に入る。
そんな昭和みたいなシステムは撤廃された。
男子が家庭に入って女子が働く。そんなこともOKとなったこの時代。
香織が笑顔で提案してきたその案は、
昭和とか平成とか令和とかそんなもの関係なく人間としての尊厳を著しく退化させる案であった。
絶対死んでも家庭には入らないし絶対ホワイトなとこで働こ。
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