第381話 生産者さんの顔が見えてこない商品
「さてさて。皆さんは自分の愛する人の作ったハンバーグが分かりましたか?ではでは。残りは2つ、2人です!はりきっていきましょう!では次!4つ目………これは………」
「まず………焦げてるね」
「それに丸くないね。」
「何か何かの欠片みたいなモノが大量にあるね。」
「真っ黒だ。」
「これは料理………」
「料理です!しっかりとした料理です!さぁ、皆さん食べましょう!食べませんか?食べないなら私1人でも食べますよ。」
アリス先輩が皿に乗っていた全ての黒い物体、もういってしまえばダークマターを一気に胃に入れ込む。
そして。
「うん。美味しくはない。」
正直に言う。だが
「だけど初めて包丁を握って初めて火を使って初めて料理したその気持ちは凄いよ。凄い。だから私からは100点あげちゃうよ。」
そのアリス先輩の言葉にただただ立ちながら涙を流す忍先輩。もう誰がどのハンバーグを作ったか当てるとか関係なくなってない?
「ではでは。最後に残ったハンバーグ。」
「ちょっと待て!」
「何すか?先輩。クッキングで疲れてるんだからツッコミは今いいっすよ?」
「いや、ツッコミとかじゃなくて………さ。もう食べなくてもいいんじゃない?」
「はい?」
「もう皆分かってるでしょ。誰がどのハンバーグを作ったか。だからもう残ったこれはもう食べる必要ないでしょ?」
「いやいや。何言ってるんすか?皆さん頑張って作ったんですから食べないと。」
「あ、もう言うから。それ、最後のヤツは俺が作ったハンバーグ………」
「へ?何か言いました?今耳に飼ってるムカデが暴れて聞こえなかったっすよ?」
「なんなん?その気持ち悪い誤魔化し方。だからそのハンバーグは俺が作った………」
「じゃあ5つ目。いきましょう!」
「ちょっと待て!」
晃太の言葉を無視し司会を続ける雫。
「形は悪くないですね。」
「しっかり焼き目もありますね。」
「やればできるのでは?」
「意外と変な感じではないんだな。」
「初めてでこれは凄いよ!」
「……………」
評論してるけど問題は外側ではなく内側、中身なんだよ。
「では等分しましょう。」
「やめろ!てかやめて!」
「何でそんなに嫌がるんですか?」
「え~、あ~、そのあの失敗したから!失敗したからみてほしくないから!」
「そんなこと言ったら進藤も忍先輩も失敗してましたよ?」
「ほら!もう誰がどのハンバーグか見極めついてるじゃん!だからもう切り分けるとかやめ」
一瞬だった。その一瞬で彼女は雫からナイフをとりハンバーグへと………
「香織!マジで!やめ………」
ザクザク。ザクザク。
「ザクザク?」
切り分けたハンバーグの中からでてきたのは
「コーンフレークだね。これ。」
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