第379話 チーズと愛が妻っているハンバーグ

「ピピッ~!終了~!ヘッドホンを外してね!あ、そうだ。すぅ~ヘッドホンを外してね!」


「うるさ。」

「痛」

「わぉ」

「お~………」

「何?」


「あ、皆ヘッドホン取ったね?良かった。良かった。」


「うるさいわ!何でお前の声が入ってくるんだよ!」


「こうゆうこともあろうかと雫ちゃんの私のボイス、つまりは声も通るように設定したんだよ?」


「いらね~設定しやがって。」


「まぁまぁともかく5人のシェフお疲れ様でした!ここにハンバーグ、らしいものが5つありますね!」


「らしい言うな。」


確かにらしいヤツは何個かあるけども。


「じゃあ私たちはこれから審査に入ります。美味しいとかは置いておいて、誰がどのハンバーグなのか当てにかかりたいと思いまーす!」


「楽しそうだな………」


「司会も企画も楽しい!」


「あっそ。」

「雫………かわたん………」


毎回思うけど乃蒼の語尾がちょくちょく変わるのは何か意味があるのか?考えるだけ無駄なのか?

多分無駄だからやめておこう。思考を使わないでいこう。


「じゃあ一番左から!おーこれは。」


一番左。順番に並べるから一番早く作った人だろう。

その見た目は。


「めちゃキレイ」

「美味しそう」

「お店みたいですね。」

「形がまとまってますね!」

「うん?でも何かハートにしようとした形跡ない?」

「あ、確かに。途中でやめちゃったのかな?」

「……………」


色々考察を皆がする中、黒井だけはニヤニヤと1人を見つめる。そう、心音を。


「よし!6等分しましょう!」


「花嫁するぞ~。」


いいのよ。小ネタは。さっさと切れよ。


「おっ!これは?」


いちいち反応がでかいな………次は何?


「中にチーズが入ってる!チーズインハンバーグですね!これ!」


「え、1時間で凄いです!」


凄いなぁ。チーズインするとかそんなアレンジまで俺、晃太は到達しなかったよ。凄いよ凄いよ?彼女は。もう誰か分かるけど。


「よし!じゃあ実食!いただきます!」


6人が口にハンバーグを入れる。

その反応は………


「美味しい」

「美味しいけど」

「けども」

「この中の」

「チーズちょっと癖あるチーズだね?何だっけ?これ確か」


「ブルーチーズ。俺が好きな食べ物ですよ。いや~、こんな偶然あるんだなー。」


黒井はもうわかっているかのように、いやわかっているのだろう。その様子でニヤニヤと話し出す。


「いや~、ブルーチーズインハンバーグなんて俺がめちゃくちゃ好きなハンバーグですよ。これなら毎日食べれるわ。いつでも嫁に来れますわ。素晴らしいわ。この人は。後でご褒美あげないとな。」


そのご褒美が何なのか、知りたくもないし知る必要もない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る