第371話 恋は急に訪れる。だから何もかも早くすべきなんだ。

「で、最後に辿りついたのがマスコミ部みたいだね。その後は何処にも入ってないし。」


「目的はなんだろう?」


「ただ単に目立ちたいだけでは?色々なとこで才能を見せたい!的な?」


「それにしても部活に入って軌道に乗ってすぐに辞めるのは意味が分からない………軌道に乗ってからがいいんじゃないの?」


「と帰宅部が言ってます。」


「殴るぞ?」


「関西弁で。」


「殴るで?」


「エセ関西弁にしてはめちゃくちゃいいやん!関西弁の才能ある!」


「むかつくわ………」


「別に殴ってもいいけど俺も殴るで?平等に生きたいから平等に殴りたいし。」


「………なら遠慮する。」


一応元少年院で何人も殴ってきた人間、黒井だ。流石に殴られたら負ける。


「これが力。暴力は全てを解決するんだよ?」


「お前………絶対いい死に方しないわ。」


「いいよ。別に。元々30までの命だし?延長期間の中で生きてるだけだから。別に死に方がどうであれ。別に。」


「……………」


もういいわ。コイツ腹立つ。


「てかレベルは?危険度は?鬼虎 楓の危険度は?」


「あ~。え~と。レベル3だね。」


「何と中途半端な………」


「仕方ないやん。コイツについては不明点多いねん。だから中途半端やねん。」


「不明点?」


「さっき忍様が言ってた不可思議な部活の移動とか。そんなとこ。」


「まぁ………確かに………不可思議だけど………」


「う~ん。あ、そうだ!」


何かしらいらないことを思い付いた黒井はカタカタとパソコンを叩き………


「意外と近いね。」


「何が?」


「鬼虎 楓のコテージ。」


「お前………まさか………」


「進藤様。意気込みとかじゃないです。今すべきは敵前視察です。」


「視察?」


「つまり………鬼虎 楓に接触することが大切なんです!」


「…………え?」


まさかとは思ったが………マジかよ。


「今の時刻は11時50分。もう男子会、女子会もお開きにしましょ。そしてお昼を食べましょう。そして、そして、その後敵前視察です。進藤様。」


確かに鬼虎 楓について何も知らない。知ってるのは百舌鳥先輩だけ。だからこそ視察は大切、かもしれないけど……


「そんな急に…………」


「恋は急だったでしょ?恋に関する行動は全て急に行うべきなんですよ!だから!すぐさま行動!すぐさま実践!これが大事です!大丈夫です。付き添いに百舌鳥様と晃太も行きますから。」


「何で俺も?」


「親友のピンチに立ち上がらないでいつ立ち上がるの?あ、夜、香織様と2人になってから一部分が……」


「あ、うるせぇ。行けばいいんだろ!」

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