第367話 鬼虎 楓と悪い噂と不吉な風

「お姉さまの今日の目標が出来たところで愛梨。」


「うん?」


「話、してくれる?」


「何の?」


「さっき言ってた鬼虎 楓さんのことについて。どんな人なの?」


香織の言葉に悩みながら百舌鳥は答える。


「一言で言うならモテる人?」


「あ、モテるんだ。」


「噂よ?鬼虎くんのファンクラブがあるとかないとか。」


「え、めっちゃ凄いじゃん。」

「めちゃくちゃ凄いじゃないですか!」

「でも………疑問………」


「え?乃蒼ちゃん。疑問って?」


「何でそんな………イケメン………より…進藤に………?」

「あー。」

「確かに。」


「えー。何?皆優くんがブサイクって言いたいの?」


「いや、先輩、進藤先輩はブサイクじゃないっすよ?どちらかと言えばイケメンの部類ですけど。あんだけひよってるとこと情けないとこばっかり見てちょっと麻痺してましたけど。イケメンはイケメン、残念イケメンです。」


「それ褒めてるの?」


「でもその鬼虎先輩は正真正銘のイケメンな訳ですよね?それに同じマスコミ部で関わりも多い。なのに何で付き合わなかったんですか?」


「う~ん…………私高級食材苦手だし。」


「そこですか?」


「いや、それもあるんだけど………実は。」


百舌鳥は話を続ける。


「鬼虎くんちょっと悪い噂があってね?」


「悪い噂?」


「女を食い物にしてるとか、あと半グレと仲がいいとか。」


「あーね。」


「だから私危ない橋を渡りたくないから断ったの。何回も何回も告白されたけどね。」


「でそんな時に告白してきたのが進藤先輩だったと。」


「うん!何か私のこと一目惚れしました。みたいな感じで告白してくれて!」


「へ~。何か今の進藤見ると嘘みたいだよな。」


もう数ヶ月くらい進藤の恥部しか見てない気がする。いいところ見てない。


「優くん、私の顔のタイプドンピシャで!だから付き合ってすぐに!そしたらそれを知った鬼虎くんが」


「どうしたの?」


「付き合ったんですね。なら俺の居場所はここじゃないっすよね。ってマスコミ部から去っていって………」


「そこから音信不通で、」


「そうね。昨日のライムが久しぶりだったかな。」


「なぁ。愛梨。」


「何?香織?」


「その鬼虎先輩もこのコテージに来てるんだよね?」


「まぁ、多分ね。それが?」


「いや。何でもないよ。多分大丈夫……」


香織の予想はよく当たるというがそんな簡単に当たらないだろう。それにそんな、今香織が考えていることがホントに起きたら………

いや、起きる訳がないよ。絶対。絶対に。

このコテージにそんなこと起こる訳がない。

そういい聞かせた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る