第366話 期日はきっちり守りましょう。
「頭がおかしいって………自分で………言うなんて………」
「心音さんも分かるのではないですか?」
「え?」
アリスがさとすように言う。
「貴女はこのコテージに来た時鍵を勝手に開け侵入し勝手にお風呂に入ってましたよね?」
「え、あ、まぁ………」
「その行動は頭がおかしい人の行動ではないですか?」
「……………」
何にも言えない。だって当たってるんだから。
「その時は晃太くんに対しての行動だったかも知れませんが愛が突き動かした結果の行動ですよね。貴女はそれをもう1度実践してるんです。」
「……………」
「お姉さま。もう素直になりましょ?うじうじ言ってても無駄ですよ?」
「わ、わ、私は別にうじうじしてる訳じゃ………」
「初めて出来た恋人にどうしていいか分からない。そうでしょ?」
「う、それは………」
「私たちは何もお姉さまを追い詰めるつもりはないです。ただ進展してほしいから言ってるだけですから。」
「そ、それは………」
「だから私たちなりの方法と歩み方でアドバイスを」
「そのアドバイスが凄い………ヤバい……んだよ。」
「ヤバい?ヤバイとは?」
「だって………まだ付き合って1日も経ってない相手にすぐにキスやセックスを求めるとかイカれてるし………」
「イカれてますよ。」
「でしょ?なら何で………」
「でもここにいる私たちはそれで幸せをゲットしたので。お姉さまにもそれでゲットしてほしいな、と。」
「ひ、人にはペースが………」
「ペースとか言ってると私みたいに半年何にもないとかになりますよ?それでもいいんですか?」
「あ、う、う~ん。こ、ここには丁度いい塩梅のカップルはいないの?」
「「「「「「いない」」」」」」
全員一致でいない、全員が全員、突飛な出会いと突飛な始まり、突飛なその後を起こしているのだと改めて理解した。
そして………心音は………1つ覚悟を決めた。
「じゃ、じゃあ!私が、私から!あの男にキスするっていうのを目標に頑張」
「いつまでにですか?」
「え?」
「目標には期日がないと。意味ないですよ。期日は?」
「じゃあ………林間学校終わるまで………」
「今日までですね。理解です。」
「ちょ!私そんなこと言ってな」
「明日は明日の目標がありますから。あ、あとお姉さま。あの男じゃなくて和虎さんですよ?そこも今日中になおしましょうね?」
今日中に?もうすぐ昼だ。あと大体12時間の間に私はこれを達成しなければいけないのか…………そう思えば思うほど頭がパンクしそうだった。
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