第359話 不幸の中の一番の幸せって幸せなのか不幸せなのかって好きなものを後で食べるか先に食べるか問題くらい難しい。

主に香織が回したルーレットは香織みたいに、って言い方はおかしいのか。いや、合ってるのか。スゲェ勢いで回り回り回り……中々止まらない。しかも進藤が投げたダーツが刺さったかどうかもよく分からない。だって回りまくってるから。止まらないから。でも壁とかには刺さってないから多分ルーレットには当たってるんだと思うんだが………

なにぶん見えないから………香織どんだけバカ力で回したんだよ。…………あ、でも段々緩くなってきてる………勢いがようやく止まってきた。止まってきた……止まってきた……止まってきた……

さぁ、誰に刺さってるのか。はたまた誰にも刺さってないのか。運命が分かる。


「ルーレットの結果、及びダーツの結果、」


黒井がトンっとルーレットを止めダーツの矢を抜きそこの場所の名を言う。


「第2ラウンド暴露話大会ポイントゲット者

は……」


暴露話大会に名前変わってるし。ちゃっかり。


「見事刺さって、百舌鳥 愛梨様にポイントが入りました!おめでとうございます!」


凄いよね。やれば出来るんだね。人間追い込まれたら奇跡起こせるだね。窮鼠猫を噛むだね。あ、ちょっと違うか………


「優くん!」


「ぐぇ!」


思いっきり結構なスピードからのハグで見ているこちら側からしたらプロレス技みたいで結構びびったけど………喜びの百舌鳥先輩は……


「流石優くん流石ダーリン流石愛する人流石恋人流石お父さんやれば出来る子代表例だね流石ダーツ初めてなのに私を射止めるなんて現実でもルーレットダーツでも私を射止める力を持ってるんだね流石だよ流石だね流石っす惚れ直した惚れてるけどまた惚れたよ惚れた惚れた惚れた惚れて腫れたよよく分かんないねえへへ」


よーく息が持つよな………ってくらい長台詞をブレス無しで話した百舌鳥先輩。凄いのはアンタですよ。


「しかも!しかも!私に刺すなんて分かってるね!」


「え?」


「え?じゃないでしょ?確かに願いを叶えてくれるのは組カップルでだけど最終決定権はポイントをゲットしてる人単品だから。」


「単品?」


「そうですね。このルーレットの結果百舌鳥様にポイントが加算されましたのでさっきの質問の帳消しが出来たのか百舌鳥様だけになります。」


「つまり優くんはまだマイナスってこと。」


「え、え?」


「私の願い事叶えるために犠牲になってくれてどうもありがとう!」


満面の笑みの百舌鳥先輩とようやく理解し硬直した進藤………

まぁでもこれが一番ベストな展開だったんだろうな……と思う。他の人に刺さってたら多分百舌鳥先輩の機嫌は悪くなる一方だし、マイナスポイントだったら多分百舌鳥先輩理性を保てないだろうし………

不幸の中の一番の幸せってことで。

………それは幸せなのか?

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